フォーラム福岡

九州の観光戦略が動き出す九州国立博物館写真

アジア諸地域との文化交流に焦点
開館準備進む九州国立博物館

2005年6月30日発行の創刊5号より

「アジア諸地域との文化交流に焦点-開館準備進む九州国立博物館」に対する皆様のご意見ご感想をお待ちしております。
コメント受付フォームよりお送りください。>> コメント受付フォーム

※クリックすると大きく表示されます。
ワンポイントビュー

九州国立博物館(太宰府市石坂)が10月16日、いよいよ開館する。東京、奈良、京都に続き、全国で4番目の国立博物館で、国博が新たにできるのは京都(1897年)以来108年ぶり。一般公開に向けて準備の進む九博の施設概要や展示内容などを紹介する。

収蔵室、修復エリアが廊下から見える

九博は大宰府天満宮に隣接する約17万平方メートルの敷地に約230億円をかけて、昨年3月完成した。地上5階・地下2階建て、延べ床面積は約3万平方メートル。最も大きなアクセスルートとなる天満宮と九博は、エスカレーター(45メートル)と動く歩道(60メートル)で結ばれ、所要時間は約4分。

※クリックすると大きく表示されます。
エントランスホール

館内に入ると、約25メートル吹き抜けのエントランスホールがあり、この1階部分にはアジア文化体験エリア、ミュージアムホール、ミュージアムショップ、レストランなどがある。2階には博物館として重要な機能である収蔵庫、保存・修復にあたる博物館科学・修復エリア、3階には特別展示室、4階には大テーマの基本的内容を取り上げた基本展示室とそれに関連する歴史事象に焦点を当てた14の関連展示室からなる文化交流展示室がある。九博の姿勢として、(1)展示が新しい(2)楽しく学べる(3)最新の保存科学・修復(4)すべてを公開(5)リラックス空間――を心がけている。

収蔵室には世界の博物館の常識を覆し、2平方メートル弱の窓がつくられ、廊下から内部が覗ける仕組みになっている。修復エリアもガラス張りで、作業風景が見学できる。いずれも三輪嘉六館長の肝いりでできたもので、開かれた博物館の一端である。特別展示室は3室からなり、面積は約1500平方メートル、天井高は7メートル。

文化交流展示「海の道 アジアの路」

※クリックすると大きく表示されます。
フロア

常設展示室にあたる文化交流展示室は面積3900平方メートル。交流展示は「海の道 アジアの路」で、旧石器時代から近世末期(開国)までの日本文化の形成について、主としてアジア諸地域との交流によって築かれてきた視点から展示する。展示テーマは、(1)「縄文人、海へ」(3万年前〜2500年前)、(2)「稲づくりから国づくり」(紀元前5世紀〜7世紀前半)、(3)「遣唐使の時代」(7世紀後半〜11世紀前半)、(4)「アジアの海は日々これ交易」(11世紀後半〜16世紀前半)、(5)「丸くなった地球 近づく西洋」(16世紀後半〜19世紀中頃)。時代ごとに石器、土器、書、仏像、陶磁器など約600点の資料や美術品が展示されるほか、関連展示室で映像や音楽も楽しめる。

九博の収蔵物は国宝3件、重要文化財21点をはじめ、東京国立博物館からの移管・貸与品、寄贈品などを合わせて1000点余り。国宝は、(1)狩野派の初代、狩野正信による掛け軸「周茂叔愛蓮図(しゅうもしゅくあいれんず)」(室町時代・15世紀)=蓮をこよなく愛した中国北宋時代の儒学者、周茂叔を描いている(2)書跡「栄花物語」(鎌倉時代・13世紀)=平安時代初期の宇多天皇から後期の堀河天皇までの15代・約200年間に及ぶ宮廷の歴史を仮名文で記した、わが国最初の歴史物語「栄花物語」の最古写本(3)刀剣「来 国光(らい・くにみつ)(鎌倉時代・14世紀)=山城国(京都)の刀鍛冶、来国光の代表作。

アジア文化に触れて考える体験型

※クリックすると大きく表示されます。
あじっぱ

展示物を見て回るだけでなく、資料の実物を触ったり使ってみたりして、アジア文化を体感できる無料の教育普及ゾーンを設けているのも、国立博物館では初めての試み。その核となるのが、アジア体験文化エリアに設けられた「あじっぱ」である。アジアと原っぱを合わせた造語で、原っぱで遊ぶように自由にアジアの文化と触れ合って欲しいという願いが込められている。ここでは、日本をはじめ、韓国、中国、タイなど7カ国で使われていた生活道具や民族衣装、楽器、おもちゃなどを自由に手にとることができる。また、国内外のいろいろな資料を使って、資料の調査・保存・展示という仕事の流れを実際に体験できるギャラリーも併設されており、職員やボランティアの助言を受けながら実体験できる仕組みになっている。

「アジアのフリーマーケットです。お子さんには面白いことが用意してありますので、ご家族で何度でも足を運んで頂けたら」と学芸部企画課長の三木美裕さん。博物館は何度でも行けないところというのが一般的な感想なので、三木さんは「無料スペースを使って、面白いことを仕掛けていきます。子供たちは来るたびに新しいものを吸収して、同じ作品でも数週間前とでは随分違った見方をします。ここまで足を運んでもらったら、面白いと思ってもらうようにしたい」と知恵を絞っている。中学生以下、70歳以上は常設の文化交流展については観覧料が無料となっている。

3つの金印が揃う「美の国 日本」

九博の開館記念特別展「美の国 日本」が10月16日〜11月27日に開催される。国宝7件、重要文化財29件を含む約120件を展示し、弥生〜奈良時代の東アジアとの交流、西洋文明と初めて接した頃の日本を桃山時代を中心に、2部構成で紹介する。東アジアとの交流を示す展示品の目玉が3つの金印。福岡市・志賀島で発見された国宝の金印「漢委奴国王」(福岡市博物館所蔵)に加え、この金印と同じ工房で制作されたとされるものとつまみの部分が同じ蛇の形をしたものの中国の2点が展示される。米国のサンフランシスコ・アジア美術館から「豊臣秀吉像」も初めて里帰りする。展示品の名前や解説は日本語・中国語・韓国語・英語で表示、各国の旅行代理店などへも働きかけて見学者誘致にも力を入れるという。

県内まるごと文化財博物館

九博のお膝元である太宰府市は「太宰府市まるごと博物館」という構想を打ち出し、交通ネットワークや生涯学習のための環境整備が進んでいるが、福岡県は九博の開館を記念し、開館日から11月末日まで県内全市町村がそれぞれの文化財を一斉に公開する企画を実施する。各地を結ぶモデルコースも設けて、“県内まるごと博物館”とするもので、国博ムードを盛り上げるとともに県内の他の文化財にも親しんでもらおうという狙い。

県内には現在、国325点、県643点、市町村1130点の合計2098点の指定文化財がある。県下84市町村(10月11日時点)ごとに、自慢の文化財についての企画展を計画してもらう予定。県はPRのため、主な文化財を解説したホームページやガイドブック、ポスターも作成する。

一方で、九博を地域に開かれた親しみやすい博物館にしようと、館内案内(日・英・中・韓4カ国語)や展示説明、イベント企画提案などのボランティアが募集された。全国から852人の応募があり、293人が採用され、開館に向けて研修が現在、続いている。( 神 崎 公 一 郎 )

「アジア諸地域との文化交流に焦点-開館準備進む九州国立博物館」に対する皆様のご意見ご感想をお待ちしております。
コメント受付フォームよりお送りください。>> コメント受付フォーム

※当ページの内容は、2005年6月30日発行の第5号に掲載されたものです。

<< トップページへ

Copyright © 2005 Forum Fukuoka. All Rights Reserved.

推奨ブラウザ:IE6以上・NN7以上・Safari・Firefox