フォーラム福岡

福岡の近未来図

オリンピック招致を目指し、大きな夢を共に描きましょう!

2006年2月10日発行の9号より

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福岡オリンピックの招致活動が本格化しつつある。オリンピック開催に立候補する都市は招致から開催、そして開催後までを見据えた、長期にわたる都市づくりが必要となる。招致費用と時間をかけても、開催都市となる保証はない。仮に、うまくいかなくても、その活動が市民生活に役立つ理念や施策が求められる。山崎広太郎・福岡市長にその覚悟と決意のほどを聞いた。

市民と一体となった福岡オリンピックが提案できる

ー 市民の間では、福岡市がオリンピック招致に名乗りを挙げたのが、いまだに唐突と受け止めている人も多いようです。山崎市長が招致しようと決断された時期と理由を聞かせ下さい。

西鉄天神大牟田線乗降人員の推移

山崎 おっしゃるとおり、唐突というか半信半疑というところがあると思います。8月に国内候補になった段階で、また違う雰囲気になると思うが、地方都市だからね。いろんな形で市民の方に呼びかけることが大事でしょうね。

なぜ、オリンピックを、ということになったかと申しますと、昨年4月15日に日本オリンピック委員会(JOC 竹田恆和会長)とパートナー都市協定を結びました。JOCとしては、東京オリンピックから40年が経過し、そろそろ日本での開催を真剣に考えておられた。竹田会長がおっしゃっていたのは、「国内候補は自分たちが決めるが、IOC(国際オリンピック委員会)に評価されるかどうか、がすべてである」ということでした。その意味で私が感じたのは、「JOCも過去のやり方を反省して、都市と一体となって、IOCが考えていることをキャッチしながら、それに沿う働きかけをしたい」というものです。

IOCが求めているのは非常に高い理念と新しいオリンピックの在り方です。大きな首都級のオリンピックではなく、人口が150万人規模の都市でも開催できる考えを持っている。竹田会長もそういうオリンピック計画を求めておられます。 福岡はこれまで国際的な会議、スポーツ大会、都市のインフラ整備、市民のホスピタリティーにしても、きちんと積み上げてきました。付け焼刃ではない形で、市民と一体となった福岡オリンピックが提案できると思っています。JOCの期待に応えうる都市は日本では福岡かなと強く感じたので、チャンスを頂けるのであれば、と昨年9月に手を挙げたのです。

アジアの青少年育成にスポーツを通じて貢献したい

ー それにしても、「なぜ福岡なのか?」という疑問の声は多いようです。オリンピック招致の目的は何でしょう。

山崎 2010年の会(市民提言団体)の提案にもあったように、アジアの青少年の育成にスポーツを通じて貢献していく都市でありたいと願っているからです。「For the Asia(フォア ジ アジア)」という考え方で、福岡市はアジアに貢献するということをいろんな形でやってきていますけど、オリンピックの開催都市となれば、当然、評価も変わり、やりやすくなります。

オリンピックスタジアムに宿泊施設を備え、国際大会などでアジアの青少年に合宿所を提供するようなこともやっていきたいですね。国際レベルの選手と国際人の育成を目指し、福岡が少年たちのスポーツや文化のメッカになれれば、と願っています。地元の子供たちに夢と影響力を与えるのはもちろんのことです。

人口が200万から300万人ぐらいの都市になると、当たり前だと思うようになるのでしょうが、福岡はちょうどその狭間のところにあるので、福岡の人は自信がなくて半信半疑になってしまうのでしょう。だからこそ、大都市ではできないオリンピックの可能性があるのです。ホスピタリティーあふれる、おもてなし好きの福岡市民だからこそ実現できると思うのです。

福岡はきれいで便利な都市、巨大都市にはなってほしくない

ー オリンピック招致を契機に、どんな福岡市の将来像を描いていらっしゃるのですか?また、福岡市の発展にどのように結びつくのでしょうか?

山崎 私はオリンピックで見違えるような都市になるとは考えておりません。すでに、福岡はきれいな、便利な都市という評価を得ています。巨大都市にはなってほしくない。オリンピックを開催することで、インフラだけでなく、教育、文化、環境も含めた総合的で創造的な、21世紀にふさわしい都市の発展ができると考えています。国際的な知名度も上がり、地場企業の活動や企業誘致もやりやすくなります。コンベンション開催や観光客も増え、地域経済にもいい影響を与えてくれると思います。

東京が後から手を挙げられたので、対東京との競争みたいにみられますが、現在、東京に日本のすべてが集まっています。東京が中心で、日本全体がコントロールされているやり方は地方の成長を阻害しているのではないでしょうか。道州制ではないが、それぞれのブロックが地域の外交、文化の特色を求め、そこからエネルギーが生まれ、日本全体として経済も含め活性化できるんじゃないか、と考えています。150万人の地方都市でオリンピックを招致できれば、地方の持つ可能性を大きくアピールすることができます。

ー 「フォーラム福岡」の編集委員会では、「アジア太平洋こども会議」という財産を生かし、世界中の子どもたちに10年後のオリンピックの企画運営を任せ、今から議論を始めたら、というアイデアも出されました。

山崎 こども会議も1989年から16年も続いてるんですね。12歳のときに福岡に来て、ホームステイした子供たちは6000人を超えています。その子供たちが中心になってつくった「ブリッジクラブ」はアジア太平洋地域に約2万5000人会員を持っていて、福岡の市民が長年培ってきたアジアの人の輪は福岡の財産です。その人脈はいろんな形で活用させて頂きたいですね。福岡オリンピック計画の制作総指揮者をお願いした磯崎新さんは、オリンピックの何たるかやIOCの考え方もよくご存知です。福岡の持っている特性もつかんでおられると思いますし、具体的な理念も固まってくるでしょう。

既存のインフラと仮設施設で大きな財政負担にはならない

ー 市民が一番心配しているのは、福岡市の財政問題です。整理しておかなければいけないのは、オリンピックの運営費は施設の仮設費用も含めIOCやスポンサーからの協賛金、チケット収入でほとんどまかない、インフラ整備は国の補助もあることがあまり知られていないようです。将来の福岡市のために何をどれくらい整備するのかという青写真を示し、市民レベルの合意が必要ではないでしょうか。

山崎 150万都市でできるオリンピックと申し上げているわけですから、莫大な予算を使う考えはありません。また、大きな財政負担になってもいけません。オリンピックそのものが大きな収入源を持った事業で、開催都市は施設を提供するが、できるだけ既存施設を活用しながら、仮設を考えていきます。

3月までに関係予算をご提案し、市民の皆さんのご意見をいただこうと思っていますが、原則的に、既存の都市インフラでいけると思うんですよ。都市高速道路もすでに整備されていますしね。福岡市はここ7年間、財政の立て直しをやってきて、中身を随分変えてきました。その努力はオリンピックにかかわりなく続けていきます。

ー オリンピック招致から開催までの長い道のりを考えますと、オリンピックレガシー(遺産)という言葉がありますが、オリンピック招致レガシーを考えながら、市民レベルの盛り上がりが大切ではないでしょうか。

山崎 2016年までは10年あるわけで、じっくり取り組めますからね。外国語一つとっても、日本人はカベを持っています。お年寄りも含めて外国語を一言でも話すようになったらいいですね。ユニバーシアード福岡大会(95年)や世界水泳(01年)で取り組んだ「1校区1国」応援のために公民館を利用しながら語学教室を開いてもいい。福岡が持っているものを各地域でアイデアを絞りながらやっていく。巨大都市ではオリンピックレガシーも消えていくが、福岡の規模ならやれるし、継続されます。福岡市の、そして市民の誇りになります。

市民の皆さんはホスピタリティーも含め、もっと自信を

ー 最後に、オリンピック候補都市決定に向けて決意を。

山崎 市民の皆さんにはもっと自信を持っていただいていいと思います。それは、福岡で昨年10月の国際宇宙会議とか、今年7月に開かれる世界政治学会とか国際会議が多いでしょう。なぜか、と言うと、福岡は便利だから、です。アジアに近く、世界23都市の航空ネットワークを持っている。空港からすぐに都心に入れ、都市高速も整備されている。街がきれいで、食べ物がおいしい。何よりもお世話する市民が親切でホスピタリティーが高いから、来た人に喜ばれるんです。

宇宙会議の歓迎パーティーで、「何かお困りのことがあったら、市長の友だちだとおっしゃってください。たぶん、ほとんどの問題は解決するはずです」と挨拶したら、大受けしました。福岡人はこういう気持ちがあるでしょう。こんな市民のホスピタリティーの下に、高い理念と新しいオリンピックの在り方を提案すれば、必ず評価して頂けると確信しております。

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※当ページの内容は、2006年2月10日発行の9号に掲載されたものです。

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