フォーラム福岡

福岡の近未来図

オリンピックの経済学、地元へ1兆1753億円の経済効果をもたらす

2006年5月21日発行の10号より

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ワンポイントビュー

ホークス417億円、東北楽天208億円、長野オリンピック6947億円(県内実質分)、ワールドカップドイツ大会4550億円(日本国内分)・・・。国際的な大会やスポーツ関連事業やイベントは開催地をはじめ、地域への経済効果には、大きなものがある。福岡へのオリンピック招致に成功して、地元開催が実現した場合、経済効果としての試算は1兆1753億円にのぼる。

福岡でのオリンピック開催で
地元に1兆1753億円の経済効果(福岡市試算) 

202の参加国・地域、参加する選手約11000人・役員約5000人、そして開催される28競技・302種目…。

2016年7月ないし8月に福岡でのオリンピック開催を仮定すると、オリンピック期間に選手・役員をはじめとする大会関係者ら約4万人が福岡市に滞在し、さらに一般観客延べ500万人が訪れる。そのうち130万人が宿泊する見込みだ。

福岡でのオリンピック開催にともなう福岡市内における経済効果について、福岡市独自の試算によると、1兆1753億円(うち直接効果6613億円)と推計されている。

最近、よく耳にする「経済効果」とは、イベントや大会開催、あるいは滅多にない出来事が起きた場合に、経済的なインパクトがどれだけあるかということを貨幣価値に置き換えて、測定することを指す。

一般的な推計の仕方として、競技会場などの施設整備に要する投資額(除く用地補償費)や開催期間に来場した人々の会場内外における消費額をもとに試算する。

この直接的な需要増加のほか、関連産業にも波及的に経済効果が発生する。このため、福岡市産業連関表を用いて、波及する間接効果を計算していく。産業連関表自体は、ノーベル経済学者のレオンチェフ(1906〜1999)によって開発された経済活動における取引状況の一覧表で、経済構造の予測や価格分析、変動要因分析などに用いられている。

福岡市内での経済効果
1兆1753億円の内訳は…

福岡でのオリンピック開催にともなう福岡市内における経済効果の算出方法は次の通りだ。国際オリンピック委員会(IOC)からの分配金、テレビ放送権料、スポンサー企業などからの協賛金、入場券販売収入で賄われる大会運営費に関して、福岡市では2012年開催予定のロンドンオリンピック並みの2800億円を想定している。

競技施設および大会関連工事整備の純工事費などについては、総事業費4864億円から用地補償費などを除いた3548億円が該当する。

さらに期間中に滞在する大会関係者4万人、福岡市内に訪れる観客400万人らによって新規に発生する需要として649億円が見込まれる。試算にあたって福岡市観光客動態調査にもとづき、日帰りの一般観客ひとり当たり11841円、宿泊する観客が同じく20779円で算出している。

大会運営費と競技施設および大会関連工事整備の純工事費、期間中の需要増加額などを合計した初期投資額は6997億円と見積もっている。この数値をもとに福岡市での産業連関表で算出した福岡市内に発生する直接効果は6613億円が見込まれ、さらに間接効果(1次・2次)として5140億円が算定される。直接効果と波及効果を合算した経済効果として1兆1753億円が推計される。

長野オリンピックでの実質的な地元経済効果は6947億円

1998年2月に開催された長野オリンピックのケースについて、みてみよう。20世紀最期の冬季オリンピックとなった長野オリンピックには、72の国・地域から2302人の選手が集まり、大会期間中に206万人の人々が開催地を訪れた。

この長野オリンピックの経済効果について、1998年12月に長野県総務部情報統計課(現・企画局情報政策課)が発表した推計結果によると、オリンピック開催によって長野県内に1兆7513億円の経済効果があり、日本国内においても4兆6802億円の経済効果をもたらしたと推計している。

ただし、コンパクトな開催を狙う福岡でのオリンピック開催とは異なり、長野オリンピックでは、開催にあわせた長野新幹線建設という大規模な交通インフラへの投資もなされ、初期投資額にカウントされていた。このため、高速鉄道網整備費や移転家屋にともなう住宅建設や耐久消費財購入を除いた初期投資額は5109億円にとどまる。結果、長野県内における経済効果は6947億円、日本国内の経済効果は1兆3736億円と推計される。

数字に表れる効果VS数字で表現できない効果

オリンピックに限らず、スポーツおよび関連事項による地域への経済効果には大きいものがある。2003年に優勝したダイエーホークスに関して、福岡県調査統計課では、優勝によって生じた経済効果を417億円(うち直接効果250億円)と弾いている。

一方、半世紀ぶりのプロ野球球団の新設となった東北楽天ゴールデンイーグルスの発足にともなう東北地区における経済効果として、東北経済産業局では208億円とする試算を出した。ちなみに今年開催されるサッカーのワールドカップドイツ大会に関する日本国内の経済効果として、住友生命総合研究所では直接支出の増加として2537億円、波及効果も含めた経済効果として4550億円を推計している。

このような経済効果が、マスコミを賑わせるのは、定量的で取り上げられやすいからだ。イベントや大会、予期せぬ出来事による社会全体への効果を考える上で、数字で表現できる経済効果とともに定量化できない社会的な波及効果についても考える必要がある。


大規模な国際イベント開催の
地域経済への波及効果は大きい
(写真:ユニバーシアード福岡大会)

たとえば、集客によって人々が行き来することでの交流効果、集客を図る上での魅力的な施設活用や企画・運営における人材育成効果、集客していく上で都市の魅力度をアピールできるシティーセールス効果などが挙げられる。

経済効果における、競技施設および大会関連工事費の純工事などの初期投資額のハード面ともに、数字に置き換えられない定性的なソフト面の充実も必要になる。特に「おもてなしの心に満ちた国際集客文化都市」を目指す上では、より重要になる。人材育成や交流効果などのソフト面を充実させていくことは、オリンピック招致のみならず、都市戦略として整備していく施設やインフラなどのハード面の充実にもつながるだけに今後の取り組むべき課題のひとつといえる。(近藤益弘)

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※当ページの内容は、2006年5月21日発行の10号に掲載されたものです。

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