フォーラム福岡

パブリックアクセス誌フォーラム福岡

多彩なビジネス人材育成と新たなヒトづくりの潮流

2013年1月31日発行の47号より

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地元のビジネス人材教育はビジネススクール最大手の開校などで注目を集める。また、企業再生現場での人材育成や中高校生向け新型キャリア教育も始まった。志やミッションを重視する時代背景も踏まえ、異なるもの同士が結び付いて起きるイノベーションによる人材育成や地域活性化に期待が高まりつつある。

今春、全国5校目の福岡校がアクロス福岡に開校―――グロービス経営大学院


グロービス経営大学院福岡校準備室 佐野友昭リーダー

今年4月、国内最大手のビジネススクール、グロービス経営大学院の福岡校が開校する。グロービス経営大学院にとっては、東京、大阪、名古屋、仙台に続いで5校目だ。

福岡校準備室の佐野友昭リーダーは、「アジアのゲートウェイである福岡の地でも、実践的なグロービスのMBAプログラムを提供することで、九州のみならず、日本、アジアの創造と変革を担うビジネスリーダーを数多く輩出したい」と言う。福岡校は今春からクリティカル・シンキングとマーケティング・経営戦略基礎の2科目を開講し、科目単位で受講する《単科生》を募集。その後、四半期毎に科目を拡充させて、来春に本格開講する運びだ。


グロービス経営大学院福岡校の開校に向けた学長セミナーには堀学長が来福して登壇した

「グロービスは、様々な立場の社会人が集う、オープンな学びの場としたい。これまでの九州には無かった場を提供することで市場を拡大し、受講生・ビジネススクール・地域社会の《三方よし》を実現したい」(佐野リーダー)とする。開学以来、「能力開発」「人的ネットワークの構築」「志の醸成」を教育理念に掲げ、《創造と変革の志士》の輩出を目指すグロービス経営大学院が福岡/九州のビジネス人材育成に革新をもたらす〝イノベータ―〟なのか。あるいは脅威をもたらす〝黒船〟なのか。今後の動向が注目される。

10周年を迎え、総合大の強みと研究重視を打ち出す―――九州大学ビジネス・スクール


九州大学ビジネス・スクール(九州大学大学院経済学府産業マネジメント専攻)永田晃也専攻長

九州新幹線・鹿児島ルートの全線開業で九州内外に向けた交通拠点としての存在感を増した博多駅―――。駅ビルである博多シティの一角に九州大学ビジネス・スクール(九州大学大学院経済学府産業マネジメント専攻)は平日夜間、博多駅教室を開講している。

「九大ビジネス・スクールの特長は、産業技術の理解を通じて市場価値を生み出すMOT(技術経営)的な要素を重視しながら、アジアで活躍する国際的なビジネスマンを養成している」と、永田晃也専攻長は解説する。2003年4月、国立大学ビジネススクールの第1陣として、九州で初めて開校した九大ビジネス・スクールは今年10周年を迎え、修了生は340人余りにのぼる。


九大ビジネス・スクールの講義風景

九大ビジネス・スクールの強みとして、「総合大学としての横断的な支援と伝統的な研究重視の姿勢」を挙げる永田専攻長は、「イノベーションをリードできるようなビジネスリーダーの育成は伝統的なMBAプログラムだけでは難しい。ケーススタディー学習に加えて、ビジネス研究にも力を入れている」。学術研究にも力点を置いたスタイルでビジネス人材の育成に臨んでいる。

地域密着の公立系として独自路線を歩む―――北九州市立大学ビジネススクール


北九州市立大学ビジネススクール(北九州市立大学大学院マネジメント研究科)王効平研究科長

「地場中小企業のビジネスリーダーを育成するビジネス分野に加え、行政やNPO・NGOなどの公共関連、長年の研究蓄積を踏まえた中華ビジネス関連の科目が数多い点が特長であり、強みといえる」。全国初の公立大学ビジネススクールとして開校した北九大ビジネススクール(北九州市立大学大学院マネジメント研究科)の王効平研究科長は、このように力説する。

モノづくりを担ってきた地域特性に加え、環境や医療・福祉などの課題解決に取り組んできた現場の《経験知》を伝える特任教授として、各分野のスペシャリストを招聘する。また、各講義でも第一線で活躍する経営者や専門家らがゲストスピーカーとして登壇する。


北九大ビジネススクールにおける卒業式模様

北九大ビジネススクールは地域貢献も兼ね、中小企業大学校や北九州活性化協議会などと提携講座を多数開催してきた。協定関係にある香港大学華人経営研究センターと共同研究プロジェクトが始まった。産業界向け「実践中華ビジネス講座」を開講。在校生向けに単発で実施していた海外視察を「海外研修プログラム」として次年度から正式に単位化する。

これらの取り組みで認知度をいかに上げられるか。地域密着型専門職大学院の真価が問われるのはこれからだ。

「志」と「知恵」重視のビジネスリーダーを育成―――九州・アジア経営塾


九州・アジア経営塾事務局 堀江広昭事務局長

経営専門職大学院に代表される、従来のMBAカリキュラムを用いたビジネススクールと一線を画したビジネスリーダーの育成に取り組んでいるのが、九州・アジア経営塾(KAIL)だ。

地元経済界は2000年代に入って、「九州になかったMBAを取得できる学校をつくろう」という機運があった。その後、九州大学でのビジネススクール設立の動きを受けて、「財務知識やビジネススキル中心のMBAとは違う、リーダーシップに重きを置いた人材養成の経営塾」として誕生したのが同塾だ。


九州・アジア経営塾でセッション風景

「リーダーとしての『志』と現実のビジネスに活かしている『知恵』に重きをおいたプログラムを通じて、自分自身の価値観にもとづき《私が》という一人称で実行していく人材を育成している」と、堀江広昭事務局長は解説する。同塾では、11カ月間、隔週週末の土・日を使って、研修を実施する。

これまでの8年間に卒業した塾生269人のうち、16人が社長に就任するなど、「九州経済の発展を担う『人財の森』として着実に成長している」(堀江事務局長)。

企業再生の現場で実践重視の人材育成を試みる―――福岡大学 次世代人材開発研究所 朝日ビジネスコンサルティング


朝日ビジネスコンサルティング 古川武史社長

ヒトづくりの試みは、座学やケーススタディーの枠を超えたビジネスの現場でも始まっている。福岡大学次世代人材開発研究所は、地場コンサルティング会社・朝日ビジネスコンサルティングと連携して、『事業再生の現場における実践的な人材育成事業』を始めた。

次世代人材開発研究所はこれまで、小・中学生や高校生への指導を通じて大学生の書く力を鍛えるプログラムや、福岡大学商学部『次世代の公共セクターを担う人材育成プログラム』の開発を手掛けた実績がある。

今回、企業再生の人材を育成する舞台は朝日ビジネスコンサルティングが近く子会社化する経営再建中の地場企業だ。公募に応じた同社グループ企業の社員や転職希望者、新卒者、インターンシップ希望の大学生向けの事前研修の場において対象企業の経営状態や課題をグループワークで討議。その後、各自が作成した再建提案書をもとに現場に登用する者を選抜する。再建先で半年、契約社員として実践に取り組むのが特徴だ。


事業再生人材育成事業での事前研修風景

《変革請負人》を掲げる朝日ビジネスコンサルティングの古川武史社長は、「実践的でアカデミックな研修に加え、再生現場を学びの場とする従来に無かったスキームだ。企業再生の場で《ゼロから1をつくる》人材を育て、新たな価値を生み出す人材の育成を通じて、既存の人材観や育成手法に風穴を開けたい」と語る。

まちをキャンパスに中学生・高校生の未来を育む―――中高生夢チャレンジ大学


中高生夢チャレンジ大学の閉校式

「新しい仲間と出会い、新しい考え方、新しい力に気づいた」「自分の可能性をもっと広げたい」「なりたいと強く思えば夢は叶う」――。昨年8月福岡というまちをキャンパスに企業やNPO、大学、関係団体、行政との連携で立ち上げた人材育成事業『中高生夢チャレンジ大学』を受講した中学生・高校生から前向きな感想が数多く届いた。

学長の髙島宗一郎福岡市長は開校に際し、「家庭、学校、塾、部活などでは得ることが出来ない体験を通して、感性を磨き、創造力を発掘し、自分の強みや個性を生かせる仕事を考えるきっかけにしてもらうとともに、仲間とのつながり、自分の将来や福岡の未来を考えることの大切さを知ってほしい」との期待を寄せた。


福岡市こども未来局 こども部総務企画課 中牟田はと子企画調整係長

「自分らしさ」「福岡のまち」に気づいて、−「自分の未来」をイメージするワークショップ、観光・起業・食・ゲーム・ファッションの各分野で「夢にチャレンジし続ける大人たち」が登壇した講座、仲間と誓った未来へ踏み出す自らの決意……。これら一つひとつが、彼らにとって大切な宝物になった。同大学を企画・運営した福岡市こども未来局の中牟田はと子企画調整係長は、「それぞれの個性を生かし、夢に向かって、チャレンジしてほしい。夢チャレ卒業生が10年後、福岡を支え、リードしてくれることを期待している」と、目を細める。

     ◇     ◇     ◇

「時代的に志やミッションが志向されるようになって来て、人材育成面においても重視されている」とみる田村馨・福岡大学商学部教授は、「異なるモノが結び付いて起きるイノベーションが全体を活性化させる。新たな動きや試みが人材教育の〝新たな個性〟として、福岡に根付いていくことが望ましい」という見方を示す。(近藤益弘)

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※当ページの内容は、2013年1月31日発行の47号に掲載されたものです。

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