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アイランドシティの活路は21世紀の出島を目指せアイランドシティ写真

環境にやさしいまちづくりとは何か

2005年8月15日発行の創刊6号より

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ワンポイントビュー

「環境共生」が、世界的な潮流となる状況を踏まえ、環境先進国での都市における事例や取り組みなどを通じて、環境共生に対する姿勢について考える。いま、官民が一体となっての取り組みが求められる。

環境都市宣言のフライブルグ市、「緑」重視のハンブルグ市

ドイツ南西部に位置しフランス・スイスの国境に近いフライブルグ市は、石畳とゴシック建築の教会など中世の面影を残した、観光と大学と音楽の街だ。ヨーロッパに先駆けて、環境都市宣言をしたことでも知られる。

フライブルグ市における取り組みとして、殺虫剤禁止やアイドリング禁止などの自然保護、徹底した分別とリサイクルによるゴミ処理、自給自足を目指したエネルギー政策などが挙げられる。なかでも、環境面から交通政策を重視した都市計画に力を入れている。具体的には、乗用車に比べて環境負荷が低い鉄道と路面電車などの公共交通機関の利用を推奨する。

公共交通機関の駅には無料駐車場を設置、乗用車から公共交通機関に乗り換えるパーク・アンド・ライドの充実を図っている。公共交通機関は駅自体も500メートル以内の間隔で設け、待ち時間も短い。家族ぐるみで使用でき、乗り継ぎ可能で格安な「環境定期券」を発行している。一方、中心市街地への乗用車乗り入れを禁止するなど、自転車や公共交通機関を使った方が便利な仕組みづくりに成功している。

一方、自由ハンザ同盟都市として知られるハンブルグ市は、人口170万人のドイツ第2位の都市で、北ドイツにおける経済面・文化面での中心を担う。ハンブルグ市における住民ひとり当たりの居住地の広さは30平方メートルと世界の大都市のなかでは最大級で、実に市街地の14パーセントが緑地と保養地となっているのだ。

ハンブルグ市では、市民へのレクリエション空間として緑地整備に際し、「仕事場や居住地の近くで気軽に緑の空間を楽しむことができる」「身近な緑のネットワークを郊外の緑地へ連続させることで、市民が徒歩や自転車で郊外の緑地へ移動できる環境を提供する」をコンセプトとして組み立てた。

そして、都市計画の策定においては、約10年の歳月をかけて生態学にもとづく実態調査などを実施し、土壌や水などの生存基盤、動・植物の生息空間の保護、伝統的な自然景観などを調べるほどの徹底ぶりだった。

環境マスタープランにもとづく都市計画を策定

ドイツ古典哲学の代表者であるヘーゲルが若き日に学んだのが、ドイツ南部の都市・シュトゥッツガルト市だ。このシュトゥッツガルト市は、盆地に位置しているため、大気汚染が深刻化していた。

このため、シュトゥッツガルト市では、大気汚染の緩和と都市気候の改善を目的に「風の道」の導入にもとづく都市計画を策定した。計画に際して、都市内における大気の流れや温度、湿度などを細かく調査して、都市計画に反映させた。

ドイツでは、76年に「連邦自然法・ランドスケープ保全法」を制定以降、各都市における環境マスタープランにもとづく都市計画の策定が活発している。環境マスタープランの作成では、すべての領域にわたって取り組むのではなく、「緑」「風」「交通」などのテーマに特化して、取り組んでいるのが特色だ。都市構造そのものを転換させるには多大な労力と時間と費用を必要とする。また、すべての領域を網羅的に取り組むより、地域性にもとづいて特化したテーマで都市構造を構築していった方が、現実的ともいえる。

規制・誘導型のドイツ、市民主体型のアメリカ

海外の先進都市における事例や手法を見てみると、生態学的な見地に立って土地利用計画を行政が規制誘導するドイツ型、市民主体による環境共生のまちづくりに取り組む市民主導のアメリカ型のふたつに大きく分けることができる。

カリフォルニア州の州都サクラメント市に比較的近いデービス市郊外にあるビレッジホームズは、81年に建設された環境共生型住宅開発によるニュータウンだ。

このビレッジホームズ建設にあたって、ディベロッパーであり住民でもあるマイケル・コルベート氏が「生態学的に持続可能なコミュニティの建設」「強いコミュニティの建設」というふたつの目標を掲げて、様々な取り組みを試みた。

太陽エネルギーの利用、土と樹木による雨水地下浸透、野菜・果実の自家栽培、歩行者・自転車中心の交通システム、垣根のない区画と広い公共空間、住民主体による管理体制などが、特色として挙げられる。一連のビレッジホームズの取り組みに関して、完成当時に比べて住宅価格が大幅に上がるなど、プロジェクトとして成功したという評価を得ている。

一方、昨年の大リーグ・ワールドシリーズの優勝チームであるレッドソックスの本拠地であるボストン。80年代、ボストンでは人口の機能集中に歯止めをかけ、郊外への分散化政策を基調とした、新たな都市計画を策定した。策定においてはかつて、歴史的建造物の多くを取り壊した反省にもとづき、周囲の景観との調和を考え、さらに開発環境アセスメントの強化などに力を入れ、住民参加型でつくりあげた。

このように環境先進自治体とみなされている海外の各自治体では、まちづくりにおいて「環境共生」を基本テーマと捉えている。都市における基本方針として「環境マスタープラン」の策定をはじめ、環境に配慮した取り組みを施策として位置づけている。

環境共生の視点で、都市問題を解決

世界的な潮流となっている環境共生都市づくりに関して、UFJ総合研究所の研究員である永井克治氏は『環境共生都市のあり方について』と題する論文で、「まちづくりの中に環境共生の視点を取り入れ、その実現に向けて、行政が積極的に施策を実施するとともに企業や市民などが普及啓発・誘導・支援していく手法が求められてきた」と、指摘する。

60年代ないし70年代における環境問題は、水俣病やイタイイタイ病などのように汚染源がはっきりした産業型公害が多かった。その後、時代が下り、80年代になると自動車の排気ガスやゴミ問題などの都市生活型公害が発生する。90年代以降は、地球温暖化に代表されるように地球環境そのものへの問題が深刻化の度を増す。これらの問題は、企業の経済活動や市民の生活行為などにもとづくものであり、さらに複雑に絡まり合っており、発生要因を特定して処置することは難しい。このため、特定して規制するのではなく、まちづくりに「環境と共生する」という視点で取り組んでいくことは、必要不可欠といえる。

環境共生都市への流れ

経済優先で都市開発をすすめてきた結果、緑や水などの自然環境の減少、公共用水域における水質汚濁、都市のヒートアイランド化、大気汚染、ゴミや産廃などの廃棄物増大など、さまざまな問題が生じ、時として日々の生活を脅かしかねない側面がある。これらの都市が抱える環境問題の解決に向けては、都市における緑化推進をはじめ、水域も含めた自然環境の保全・創出、自然な風の流れへの配慮、都市交通システムの整備、省エネルギーの推進および都市型リサイクルシステムの整備などの取り組みが必要となる。将来に向けたまちづくりとして、環境と共生した都市、すなわち環境共生都市づくりが求められてくるのは必然だ。

日本における環境共生都市づくりに向けての取り組みとして、環境庁は88年度から93年度にかけて、都道府県および政令指定都市を対象に「エコポリス策定事業」を実施した。また、建設省(現国土交通省)が93年度から95年度にかけて、「エコシティ整備推進事業」を手掛けたことが挙げられる。

21世紀における新しいモデル都市を目指すアイランドシティでは、自然環境と共生する「水と緑の島」の実現を目指す。アイランドシティでは、自然との共生をテーマに快適な都市生活に向けたまちづくり、そして、発展著しいアジアと協業していくビジネス拠点や新たな産業の集積を図りながら、魅力ある都市づくりをすすめていく考えだ。

「アイランドシティを先導する住宅開発プロジェクト」と、自ら位置づける照葉のまちでは、「人と自然が輝きあう」をテーマとしたまちづくりに取り組む。ネーミングにもなっている照葉とは、鎮守の森として長年親しまれてきた照葉樹林のことだ。広く西日本一円に分布する照葉樹林は、いわば日本の原風景のひとつであり、九州を象徴する樹木でもある。今年9月にまちびらきする照葉のまちでは、環境と共生するまちづくりに向けての挑戦が始まる。( 近 藤 益 弘 )

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※当ページの内容は、2005年8月15日発行の創刊6号に掲載されたものです。

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