フォーラム福岡

アイランドシティの活路は21世紀の出島を目指せアイランドシティ写真

人工島で全国都市緑化フェア「花どんたく」開催
アイランドシティの現実とビジョン示す好機

2004年9月30日発行の創刊号より

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73日間で100万人の来場を見込む「花どんたく」を、福岡市はアイランドシティの《街開き》と位置付けている。隣接地では住宅祭も同時開催される。課題ばかりが目に付く人工島事業だが、この機会に、市民に何を見てもらえばいいのかーー。

9月9日から73日間開催

まず、花どんたくの概要を紹介しよう。2005年9月9日から11月20日までの73日間、博多湾のアイランドシティで、第22回全国都市緑化フェア「アイランド花どんたく」が開かれる。都市緑化フェアは国土交通省の提唱で年1回、全国の都道府県や政令市が持ちまわりで開いているイベントで、福岡県では1991年に北九州市の響灘緑地で開かれて以来の開催となる。

現在、香椎側からアイランドシティには2本の橋が架かり、その先の道路は湾側がアイランドシティ1号線、陸側が香椎アイランド線と名付けられている。今回の「花どんたく」の会場は、この2本の道路に挟まれたエリアで、会場面積は23ヘクタ ール、駐車場などを合わせて約60ヘクタールの敷地を利用する。

会場内には 、会期後も恒常施設として残るテーマ館や庭園、芝生広場、親水ゾーン、企業の出展エリア、食や物販のアジアタウンなどさまざまなエリア・施設が設けられ、各種イベントも行われる。もちろん主役は花と緑で、会期中、1000種150万株の草花を楽しむことができる。

73日間で延べ100万人の来場を見込んでおり、今年9月からは既に前売り入場券が発売されている。総事業費は42億円程度となる見込みだ。

アイランドシティの街開き

主催する福岡市では、今回の花どんたくを、実質的なアイラ ンドシティの「街開きイベント」としたい考えだ。来場する福岡市民に、アイランドシティを見てもらおう、ということだが、その大きな目的のひとつが、住宅の販売促進だ。

花どんたく会場から道路を挟んで陸側のエリアは、「照葉のまちづくり」というコンセプトで開発されている住宅エリアだ。

ここでは、花どんたくと全く同じ会期で「住宅祭」が開かれる。花どんたくと併せて住宅祭にも人を呼ぼうという狙い。このエリアでは、フェア開催前の8月には第一期分の260戸の住宅が完成し、既に募集を開始している予定だ。内訳は集合住宅が230戸、戸建て(建売分)30戸で、さらに翌年には集合住宅60戸、戸建て(注文住宅)70戸が建設される 。最終的には総計1500戸の住宅が供給される予定だ。

このエリアは、福岡市住宅供給公社と博多港開発によって開発企画コンペが行われ、積水ハウスや九宅協グループが開発に着手している。積水ハウスが主に集合住宅を担当し、戸建ては九宅協加盟の各社が手掛ける予定だ。

ワンポイントビュー

「逆風」を押し戻すために

アイランドシティ内で開通している道路を利用している一部の人たち以外の、大半の福岡市民にとって、来年の都市緑化フェア・花どんたくが人工島に上陸する初めての機会となる。

花どんたく会場図

現在、一般市民がアイランドシティの情報に触れる機会の大半は新聞やテレビのニュースを通してのみ。そのニュースといえば、「石とケヤキ問題」「トトロの街構想の破談」「博多港開発担当分の福岡市直轄化による市の負担増」「学校用地買い上げ問題」など、マイナスの問題ばかりで、人工島事業全体に強烈な逆風が吹いている、という状態だ。

福岡市としては、実際に市民に足を運んでもらうことで報道されていない部分も含めたアイランドシティを見てもらい、事業に対する市民の理解を得て、逆風を押し戻したいところだ。

しかし、ただ足を運んでもらうだけでは、事業に対する理解を得るところまではいかない。来年秋の時点で花と緑を楽しむことを目的に来場する市民の目に入る人工島の景色は、一部出来上がっ た住宅地と、埋め立て工事中の広大な空き地、それに、既に稼働している港湾施設とコンテナなどの積み荷を満載して行き交う大型トラックーーといったところだ 。住宅祭を目的に訪れる人にとっても同じ。ここに住んでみたい、と思わせるためには、どうすればいいのか。

緑の建築(仮称)
花どんたくのテーマ館「緑の建築」(仮称)は世界的な建築家の伊東豊雄氏の設計。緑の景観と一体化した建物の屋上には花壇や散策路が設けられ、建物内部には自然光を取り入れた大きな空間が出現する。花どんたく閉幕後もアイランドシティ中央公園の恒久施設となる。

悪いイメージを払拭するには…

本誌編集委員の田村馨・福岡大学商学部教授(マーケティング)は、指摘する。

「人工島事業は、さまざまな問題が大きく報道されて、色がついてしまった。一般的な市民の立場からすると、よっぽどのことがないと行きたくもない場所となってしまっている。悪いイメージは、通常ならば時間をかけて解きほぐすところなのだが、今、やるのであれば、上の段階で視点を変えて、そうした悪いイメージを帳消しにするほどのインパクトや変化が必要。100万人でなくても、1万人でいい。とんがった(先鋭的なライフスタイルの)1万人を集めれば、そこから新しい街をつくることも可能だ」

アイランドシティの住宅エリアの開発コンセプトは「子どもから高齢者、外国人もくらしやすく、自然との共生と都市のライフスタイルに求められる機能をそなえた、だれもが暮らしやすい魅力ある住宅・住環境づくり」。一見、理想的に見えるが、実は一般的な住宅開発の理想を並べたにすぎず、そうなると、アイランドシティであることの必然性が薄れてしまう。

田村教授の指摘にあるように「ひとつ上の段階で視点を変えて」コンセプトを練り直すことが求められている。

これは、住宅エリアに限った話ではない。「花どんたく」に来場する延べ100万人の市民に、アイランドシティの現実とビジョンを理解してもらうためにも、「これから私たちは福岡をどのような街にしていくのか」「その中でアイランドシティはどのような役割を果たしていくのか」という基本的な未来図の構築が求められる。(宮崎仁士)

ボートに興じる若者
アイランドシティに架かる「御島かたらい橋」からみた「花どんたく」予定地。波おだやかな周辺の海には、ボートに興じる若者たちの姿も

「なぜそこを開発するのか、を徹底的に突き詰めるべき」
環境デザイン機構・佐藤俊郎代表の話

「私がいま手掛けている、新宮町にできるJR新駅の駅前開発では、田んぼをつぶして緑あふれる住宅地をつくろうとしています。その中心には、下水処理場があります。これまで迷惑施設であったものも、正面から向き合うことで文化施設になりうるという考えのもとに、計画を進めています。そこでは、水田をつぶしてまでも下水処理場を中心とした街をつくる理由を、しっかりと突き詰めて地域の理解を得ることに全力を挙げています。人工島も同じことではないでしょうか。めぐみ豊かな海を埋め立ててまで港湾施設や住宅をつくる。その理由が、たとえ後付けだとしてもしっかりしていれば、そこにどんな住宅をつくればいいのかも自ずと決まってきます。そこに住もうとい う人も出てくるでしょう」

「住宅のプランとしては、ライフステージを切り取った街、というのが考えられます。例えば《子育ての街》。賃貸住宅を中心にして、中学生くらいまでの子育てに必要 な 都市機能を集中させるのです。これからの都市生活者にとって、住宅は所有するものではなく利用するものへと変化しています。ライフステージごとに必要な広さや住 環境の住宅に移り住むようになるでしょう。子育てが終わればその家族は新しい街に移り、子育ての街にはまた新しい住人がやってくる。そこでは住人が高齢化して学校に通う子どもが少なくなってしまうことはありません」

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※当ページの内容は、2004年9月30日発行の創刊号に掲載されたものです。

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