フォーラム福岡

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博多港が担う港湾機能と地域への経済効果

2008年10月1日発行の22号より

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我々の目の前に広がる博多港は、一体どのような性格の港湾なのだろうか。そして、都市や地域に対して、どのような役割と機能を担っているのだろうか。博多港が、地域経済に貢献している経済効果も抑えながら、博多港の「姿」を追い駆けてみる。

日本の3分の1強の港湾が集まる九州

日本の港は、大きく分けて港湾法の適用を受ける「港湾」と漁業法が適用される「漁港」に分かれる。

日本全国にある港湾は1042港(2008年4月時点、国土交通省調べ)、漁港は2921港(同、水産庁調べ)を数える。

港湾はさらに「地方港湾」と「重要港湾」に分かれ、重要港湾のなかでも重要度が高い港湾は「特定重要港湾」と位置づけられている。全国にある重要港湾は128で、このうち23が特定重要港湾だ。残りの914港は地方港となる。


今年、開港100周年を迎えた三池港

一方、離島が多い九州には全国の3分の1強となる357の港湾があり、そのうち重要港湾は27を数える。福岡県内には9つの港湾があり、博多港と北九州港は特定重要港湾に位置づけられ、重要港湾としては三池港と苅田港が指定されている。

特定重要港湾である博多港は順調にコンテナ取扱個数を伸ばし、同じく北九州港は総貨物量で1億tを超える規模を誇る。一方、重要港湾である苅田港は自動車やセメントなどの工業製品の出荷を担う。そして三池港は今年、開港100周年を迎えて話題を集め、福岡県南部地域の物流拠点としての飛躍が期待されている。福岡県内にある各港は、それぞれに港湾機能を果たしながら、地域における重要な役割を担っている。

後背地で変わる港湾の性格と位置づけ

4位・北九州港、12位・大分港、22位・鹿児島港、26位・博多港、30位・苅田港……。国土交通省総合政策局刊行の『港湾統計(年報)』がまとめた2006年の港湾取扱貨物量ランキングの上位100港には九州の19港湾が名を連ねる。

全国の港湾における貨物取扱量については、首位の名古屋港をはじめ、千葉港、横浜港、北九州港、苫小牧港などに見られるように、港湾の後背地には大規模な工業地帯やコンビナートなどが存在している。つまり、工業製品向けの原材料や生産した製品の輸出入が大きな割合を占めているのだ。

一方、貨物取扱量のうち、雑貨や穀物などを運ぶコンテナの取扱個数が多い港湾は、後背地として大消費地を控えているケースが多い。国際コンテナの取扱個数では、東京港をトップに、横浜港、名古屋港、神戸港、大阪港、博多港と続く。

具体的な例として、博多港と近隣に位置する北九州港を比べてみよう。日本港湾協会刊『数字でみる港湾』によると、北九州港の2006年の取扱貨物量は1億t超で港湾取扱貨物量で全国4位である半面、国際コンテナ取扱個数は40万個と外貿コンテナ個数で全国8位となっている。

一方、博多港の取扱貨物量は北九州港の3分の1となる3425万tで港湾取扱貨物量は全国26位ながら、国際コンテナ取扱個数は75万個と外貿コンテナ個数で全国6位に食い込んでいる。北九州港地帯を後背地に持つ工業港としての色合いが強い北九州港、コンテナ輸送に象徴される「生活港湾」として性格を帯びる博多港とでは、対照的だ。つまり、港湾を取り巻く後背地の状況によって、工業港や商港、フェリー港などの港としての性格を決めるといえる。

九州のコンテナ輸出入の4割強を担う博多港

九州は、全国の自動車生産の約1割を生産するカーアイランドである。また、半導体の約2割強を供給するシリコンアイランドであり、さらに農林水産業産出額においても約2割を占めるフードアイランドとしての「顔」も持つ。

国土交通省が2003年度に調べた『全国輸出入コンテナ貨物流動調査』を見てみると、九州で生産されたコンテナ貨物34万6195万tのうち、約4割強にあたる14万1700tが博多港から船積みされた。

一方、九州で消費されたコンテナ貨物54万4434万tのうち、半分近くを占める25万2818万tが博多港で船卸されている。


『生活港湾』としての性格を帯る博多港

博多港に海外から入って来る麦やトウモロコシ、野菜・果物などの食料や農産品、飼・肥料、家具、天然ガスなどは、市民生活を支える生活物資といえる。また、国内から運ばれて来るガソリンをはじめとする石油製品や自動車、砂利・砂、鋼材、セメントなど、都市での経済活動において不可欠な物ばかりだ。一方、博多港から海外へは、タイヤなどのゴム製品、古紙や廃プラスチックなどの再利用製品、自動車、産業機械などが積み出されている。

博多港は、その後背地にある福岡都市圏、そして九州地区の市民生活や経済活動を支える海上輸送拠点として、重要な役割を担っているといえそうだ。

博多港の経済効果は福岡市内で3兆円強

博多港の物流機能で発生する生産額は福岡市内で3兆2636億円、九州域内で3兆3820億円、そして全国規模で5兆円強――。福岡市港湾局がまとめた『博多港経済効果調査報告書(解説版)』は、2001年における博多港の経済効果を前述のように推計する。

また、博多港湾で直接的に事業に従事する海運業者をはじめ倉庫業者、陸送業者、漁業者、公務員などの港湾に立地する産業の従業者として6394人とみる。

一方、博多港を利用している食料品や工業製品などのメーカー、港湾建設に関わる事業者、さらに商品流通で利用している卸業者などの港湾利用産業の従業者を10万718人と推計する。これら港湾利用産業の従業員数に、港湾事業に直接携わる港湾立地産業の従業者6394人を足した10万7113人を博多港と関わりがある港湾関連産業の従業者数として弾き出す。そして、彼らが1年間の経済活動によって新たに生み出された財やサービスの総額である生産額を1兆7346億円と算出している。

博多港の経済効果、そして雇用創出効果

2001年時点での博多港の物流機能によって生み出された1兆7346億円強の直接効果をもとに福岡市内全体へ波及した経済効果の総額は3兆2635億円にのぼるという。そして、九州域内への経済効果は3兆3819億円、全国規模では5兆円強にも達する。

福岡市内における経済波及効果である3兆2635億円のうち、港湾関連産業の従業者に支払われた賃金や社会保障費、税金などの合計額である付加価値額は1兆8388億円となる。

一方、博多港に直接関わる港湾立地産業、そして博多港を利用している港湾利用産業を含めた港湾関連産業の従事者10万7113人からの波及効果も含めた福岡市内の雇用創出総数は22万6937人と予測する。

福岡市の基幹産業の一翼を担う博多港の存在

物流とともに港湾が担う重要な機能である人流において生じる経済効果として、福岡市内に127億円をもたらしたと『博多港経済効果調査報告書』ではみる。

2001年時点の国際旅客数は年間46万人強だった。これらの人々が移動や食事、買い物などで支出する金額を日本人・外国人別で調べ、さらに船便毎に調査した。その結果、日本人旅行客は36万人弱で22億5556万円、韓国人旅行客は12万人強で51億2626万円、合計73億8182万円の直接効果があったとの結論を導き出している。

74億円弱となる直接効果をもとに福岡市全体への経済波及効果を推計すると、127億円になる。そして、九州全域への波及としては149億円にのぼり、さらに全国規模においては198億円の経済効果があったと見ている。一方、雇用への効果として直接に715人を雇用し、福岡市全体に波及した効果として1123人強の雇用を生み出している。そして、九州全体では1326人の雇用につながっていると見込んでいる。 

そして、博多港の存在は、物流や人流などの港湾機能に限らず、経済効果や雇用創出の役割も担う博多港が、福岡市にもたらす税収効果の総額は732億円で、市税の実に4分の1近くになるというのだ。

これらの数字は、国際コンテナ数52万個・外国航路乗降人数46万人だった2001年時点であり、国際コンテナ数75万個・外国航路乗降人数84万人(2007年)規模へ拡大した今日、博多港の地域経済に果す貢献度は、さらに高まっているものと考えられる。(近藤益弘)

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※当ページの内容は、2008年10月1日発行の22号に掲載されたものです。

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