博多港の「いま」をみる
2008年10月1日発行の22号より
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博多港は、アジア、北米、欧州、中近東など、世界と九州をダイレクトにつなぐ拠点港として発展している。国内6位の国際海上コンテナ貨物を取り扱い、外国航路船舶乗降人員数は14年連続日本一になっている。国際拠点港としての博多港の現状を見てみよう。
なぜ新しい独自のサービスが必要なのか
上海や釜山などの周辺ハブ港湾と比較してターミナル規模の小さい博多港は、従来からの大型コンテナサービスに加えて、独自の物流サービスに官民一体となって力を入れている。東アジアに近いという地理的優位性を活かして、日本各地と東アジア、世界を結ぶ円滑な国際複合一貫物流サービス(マルチ・クロス・サービス)がそれだ。博多港は東アジアに近いという有利さだけでなく、福岡空港、JR貨物福岡ターミナル、高速自動車道インターチェンジ、つまり陸・海・空のすべての物流拠点が半径5キロ圏内に位置しているという利点がある。その優位性をフルに活用して各交通モードとの連携を強化して「東アジアのマルチ・クロス・ポート」づくりを目指している。
「これからの国際港は、高速・定時性、小口・多頻度、低コスト、迅速性、高付加価値など多様なニーズに応えていかねばなりません。その点、取扱貨物量は国内線第3位(国際線第4位)という西日本最大の福岡空港、九州での取扱貨物第1位(全国第3位)のJR貨物福岡ターミナルなどが、すぐ近くにある博多港は非常に有利です。それに九州の高速道路網も整備され、九州全域が日帰り交通圏という強みもあります。博多港は複合一貫輸送には理想的な港です」(福岡市港湾局港湾振興部の池上庸治港営課長)
福岡市港湾局では、この国際複合一貫物流サービスを「博多港マルチ・クロス・サービス」とネーミングして、その効率性をアピールしている。上海や釜山に東アジアのハブ港湾として大きく差をつけられた日本の港湾は上海や釜山をパートナー港として利用しなければ、これからの発展はない。
高速RORO船を生かしたサービスとは
博多−上海間に就航するRORO船
現在、陸・海・空・鉄道のネットワークによる博多港独自の東アジアを対象にした主なマルチ・クロス・サービスは次のようなものがある。
○SEA&AIR
「釜山・上海〜(海)〜博多〜(空)〜 東京」
釜山と博多を6時間でつなぐ高 速フェリー・カメリアラインや上海と博多を28時間で結ぶ高速RORO貨物船・上海エクスプレスと福岡 空港などから航空機に接続するサービス。
○SEA&RAIL
「上海〜(海)〜博多〜(鉄道)〜東京」
上海と博多を28時間でつなぐ高速RORO貨物船とJR貨物鉄道の利用によるサービス。
○RAIL―SEA―RAIL
「ウイワン〜(鉄道)〜釜山〜(海)〜 博多港〜(鉄道)〜東京」
韓国のウイワンから韓国鉄道公社の鉄道で結び、釜山と博多港を6時間でつなぐ高速フェリーとJR貨物鉄道の利用によるサービス。
これらのサービスを画期的なものにしたのが、日中航路初の高速RORO船を使った「上海スーパーエクスプレス」(SSE)だ。SSEは日本通運、商船三井、上組などの共同出資で設立、2003年11月からサービスを開始、博多―上海間を片道28時間で結ぶシャトル便。RORO船は空と鉄道との接続だけでなく、博多港ではトラック、内航フェリーなどとの接続もあり、一貫輸送サービスを提供している。
高速RORO船のメリットは、トレーラーが自走して乗り込むため、コンテナ船に比べて荷役時間が短く、航行スピードが速いだけでなく、輸送コストも航空輸送の5割程度ですむ。また、通常のコンテナ規格に収まらない貨物や鉄道輸送用の12フィート・コンテナもシャーシに積載することで対応でき、幅広い種類の貨物を迅速に取り扱うことができる。
博多港は市民生活や都市活動を支えている
博多港は輸入・移入が取扱貨物量全体の7割近くを占め、背後の消費経済を支える流通港湾の役割を果たしている。海外からの輸入906万t(2007年)のうち1位は中国からで全体の31%を占めている。次いでアメリカ15%、韓国11%、マレーシア6・4%、タイ5・8%の順だ。輸入の主要貨物である麦は、九州全体の消費シェアの6割以上を博多港で扱っている。また国内からの移入の主要貨物はガソリンなどの石油製品で、年間取扱量は437万t。福岡都市圏だけでなく佐賀、長崎まで配送され、九州全体の消費シェアの28%を占めている。
輸出の1位は輸入と同じく中国で、全体の25%強を占めている。2004年に日本の貿易相手国のトップが米国から中国に変わってから、博多港もずっと中国がトップを続けている。主要貨物のトップはブリヂストンのタイヤなどのゴム製品が36・4%、次いで古紙などの再利用資材、完成自動車、産業機械などの順だ。特に完成自動車はトヨタ自動車のレクサスブランドの中国向け輸出港になっている。
このように博多港は、福岡都市圏の市民生活や都市活動を支え、また背後の産業を支える海上輸送拠点として欠かせない存在になっている。
右肩上がりで伸び続ける国際海上コンテナ
現在、博多港の国際海上コンテナ取扱個数は2007年実績75万個(TEU:九州1位、全国6位)で、1989年(平成元年)の5倍以上の伸びをみせている。1989年を100とした指数と比べると現在は586。全国平均は299なので、いかに博多港の伸び率が高いかが分かるだろう。それは近年の中国、韓国、東南アジアの急激な台頭と比例している。現在の博多港の国際コンテナ航路は、北米西岸、欧州、中近東が各1航路であるのに対して、中国が16航路(上海、香港など)、東南アジアが9航路、韓国が9航路(釜山、光陽など)と圧倒的に東アジアで占められている。
これに比べ15年前の1993年の博多港に寄港するアジア航路は、東南アジアが2航路、韓国航路が1航路、中国航路はゼロだった。この1993年は香椎パークポートのコンテナターミナルが稼働する前年、つまり箱崎ふ頭の水深12mのコンテナターミナルのみの時代で大型コンテナ船は接岸できなかった。
1994年と1997年に香椎パークポートに水深13mのコンテナターミナルが稼働し、大型コンテナ船の寄港も可能となり毎年、コンテナ取扱量が増えていった。アイランドシティに2003年に稼働した水深14mの国際コンテナターミナルは、5万t級のコンテナ船が接岸できるようになった。さらに2008年秋からは水深15mのコンテナターミナルが稼働する。
14年連続で日本一の外国航路船舶乗降人数
韓国・釜山への定期旅客航路を持つ博多港の外国航路船舶乗降人員数は、年間84万4000人(2007年実績)で、旅客船用の中央ふ頭の博多港国際ターミナルが開業した1993年の外国航路旅客数の8倍以上の急増ぶりをみせている。博多港は1993年から14年連続で日本一の外航旅客数を誇っている。また空港を含めても新千歳空港より多く、東京国際空港(羽田)に次いで全国6位である。
外国航路の主力は釜山と博多を2時間55分で結ぶ高速船ジェットフォイル「ビートル」(JR九州高速船)と「コビー」(未来高速)。それに車も搭載できる1日1便のフェリー「ニューかめりあ」(カメリアライン)。ビートルとコビーは2006年から共同運航で釜山―博多間を毎日5〜9往復している。10年前は日本人の利用客が多かったが、現在(2006年)は逆転し韓国人61・3%、日本人客36・6%、その他2・1%の割合だ。
「コビー」(未来高速)と「ビートル」(JR九州高速船)
これまで毎年、日本一の記録更新をしてきた釜山―博多航路だが、これからもさらに記録更新が期待されている。「釜山航路はサッカーのワールドカップなどのイベントを契機に急増してきた。2011年の九州新幹線と韓国高速鉄道(ソウル―大邸―釜山)の全線開通で、韓国からの来訪者の増加が期待できます。熊本県の阿蘇や温泉地などでは、特に熱心な動きをみせているようです」(池上課長)。
市民の博多港への意識を高める必要性
福岡市が2007年8月に実施した博多港に関する「市民意識調査」では、「博多港の外国貿易のコンテナ貨物量は九州一であり、全国6位である」(19・4%)、「博多港の外航旅客者数は全国で一番高い」(11・7%)、「博多港の経済効果は福岡市内総生産額の4分の1を上回る」(5・9%)など、博多港の輸出入に関する項目の認知度はいずれも20%以下と低かった。これから博多港を本格的な国際貿易港として発展させていくには、市民の博多港に対する意識をもっと高めていく必要もあるだろう。(渋田哲也)
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※当ページの内容は、2008年10月1日発行の22号に掲載されたものです。



