フォーラム福岡

福岡の近未来図

福岡における「明日の環境」を考える

2007年9月29日発行の16号より

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温暖化対策の大きなポイントは、CO2の排出量の削減だ。CO2排出量を減らすことは、突き詰めると、「無駄なエネルギーを使わない」「上手にエネルギーを使っていく」ことである。つまり、『省エネ・低CO2社会』への移行こそが、究極の解決策といえる。

一人あたりCO2排出量はサッカーボール118万個分

福岡県民1人あたりが年間に排出するCO2は11・83トン(2002年度)だ。重さ1kgのCO2の体積は、サッカーボール換算で約100個に相当する。このため、1年間に福岡県民1人が排出するCO2の体積はサッカーボールで、実に118万3000個という膨大な数におよぶ。


福岡県における部門別CO2排出量の指数

2002年度に福岡県全体で排出したCO2の量は5932万トンだ。このCO2排出量は、京都議定書の基準年度である1990年度比で1%増となる。その排出量の内訳をみてみると、産業基盤を担っている、工場などを擁する産業部門、セメント製造などを手掛ける工業プロセス部門、電力・ガスなどのエネルギー転換部門は、減少に転じている。これに対して、民生分野となる家庭部門、オフィスなどの業務部門、さらに自動車などの運輸部門やゴミなどの廃棄物部門は、増加傾向にある。

オイルショック以降、日本では産業部門、工業プロセス部門、エネルギー転換部門での環境技術の開発・普及が進み、さらにCO2排出量を改善していく余地は少ないのが現実だ。このような状況を踏まえ、全体的なCO2の排出量を引き下げるには、家庭部門をはじめ業務部門、運輸部門、廃棄物部門での削減が必須となる。

これらの部門におけるCO2削減への取り組みは、多種多様にわたる。CO2が発生するのはエネルギーを利用・消費した場合であり、CO2の削減として「ムダなエネルギーを使わない」「上手にエネルギーを節約する」姿勢が重要だ。

つまり、省エネをすることは、すなわちCO2を削減することにもつながる。電気代やガソリン代などの節約、ゴミなどの減量を通じて、コストを引き下げることは、ひいては我々の懐を豊かにすることにもなる。CO2の排出を抑えるためにも省エネを心がけて、新しいライフスタイルをつくりあげて「省エネ・低CO2社会」へ移行していくことが重要だ。

CO2排出量の多い運輸部門における対応策

「省エネ・低CO2社会」への移行を図る上で必須となる家庭、業務、運輸、廃棄物の各部門におけるCO2削減で、早急かつ抜本的な対策が求められるのは運輸部門だ。

自動車をはじめ、航空機や船舶、鉄道で構成される運輸部門は、福岡県内では産業部門に次いでCO2を排出、全体の20%を占める(2002年度)。なかでも、産業部門が少ない福岡市の場合、全体の40%にも達している状況だ。

福岡県内の運輸部門のCO2排出量の伸びは部門別でもっとも高く、1990年度比で32%増を記録している。大幅にCO2が増加した要因として、運輸部門のCO2排出で84%を占める自家用車の県内保有台数が、1990年当時に比べて実に5割強も増えたことによる。

運輸部門における具体的な対策として、公共交通機関の活用、クリーンディーゼル車両の導入、エコドライブの推進、バイオ燃料の採用、ハイブリッド車両の普及、電気自動車の開発・実用化などが挙げられる。

たとえば、バスや電車などの公共交通機関を利用すると、自家用車に比べて1人あたりの同じ距離の移動におけるCO2排出量は、3分の1ないし9分の1だ。また、自家用車の平均乗員数が1・3人なのに対して、バスは1台平均で13人を運んでいるといわれている。つまり、バス1台は自家用車10台分に相当し、都市部での渋滞緩和にも有効だ。福岡市では従来、月に1日だったノーマイカーデーを今年度から毎週金曜日に拡大、公共交通機関の活用を促す。

最近、脚光浴びる電気自動車・バス

最近、CO2を排出しない究極のクリーンカーとして、社会的に脚光を浴びているのが電気自動車・バスだ。一部自動車メーカーは市販に向けて開発車両の走行実験を重ねる。


家庭におけるCO2削減策
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モーターで動く電気自動車はエンジンや変速機を必要とせず、比較的簡単な構造の半面、バッテリーが重く、充電に時間を要するというのが欠点だった。しかし、今日ではバッテリー技術が飛躍的に進化し、携帯電話で一般的になったリチウムイオン電池を採用することで大幅な性能向上をみせる。九州電力が三菱重工と共同で開発をする電気自動車用大型リチウムイオン電池と急速充電スタンドは、今後のインフラ整備のカギを握る試みとして注目される。

東京・丸の内では、ビジネスマンや買い物客らの「足」として、ハイブリッド方式の電気バスが巡回運行している。また、九州電力玄海原子力発電所内を走る電気バスは最高時速80kmで、1回の充電での走行距離は160kmという性能を持ち、公道上でも走行可能だ。一方、電気自動車・バスの動力となる電気の発電において、CO2を排出する火力発電の割合は九州電力で総発電量の半分であり、従来のガソリン車・ディーゼール車に比べて環境負荷は低い。 

福岡の新産業と新たな「足」をつくるために……


事業所におけるCO2削減策
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2011年春、九州新幹線の博多駅乗り入れ、そして新博多駅ビルのオープン……。今後、天神地区と博多駅地区との回遊性が求められるなか、電気バスによる巡回運行の導入は、公共交通機関の利用促進のみならず、運輸部門におけるCO2削減としての意義も大きいと考えられる。

ただし、実際に運用していく上で、通常バスの購入価格が約1600万円に対して、東京・丸の内を走る電気バスの価格は8000万円と割高だ。たしかに先行生産ゆえにコスト高となるものの、このようなハードルを乗り越えなければ、電気自動車の産業としての可能性も摘み取ってしまう。

このため、CO2削減をはじめとする環境保護や新産業創出の視点からも電気自動車・バスを普及に向けて、行政をはじめ民間企業・団体、市民らも巻き込んだ新しい基金の創設を検討すべきではないだろうか。このような基金の活用として、車両導入の助成だけでなく、電気自動車・バスに関連した研究開発も支援していけば、九州の自動車産業に関連した新たな産業創出の芽を育むことにもなる。(近藤益弘)

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※当ページの内容は、2007年9月29日発行の16号に掲載されたものです。

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