フォーラム福岡

福岡の近未来図

福岡を取り巻く「環境」のいま

2007年9月29日発行の16号より

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猛暑に見舞われた今夏の日本列島。地球的な規模での気温が上昇するなか、福岡市内では、都市部が高温となる「ヒートアイランド現象」も発生している。打ち水などの「水」、風の道づくりなどの「風」、緑化などの「緑」を取り入れたまちづくりが注目される。

暑かった、2007福岡の「夏」

記録的な猛暑となった今年の夏―――。最高気温37・2度を記録した福岡市では、最高気温が35度以上の猛暑日が6日だった。また、夜間になっても気温が下がらず、最低気温が25度以上の熱帯夜は29日と、寝苦しい夜が続いた。


福岡市において典型的なヒートアイランド現象が観測された時の温度分布図
日時:20003年9月5日午前5時
平均気温:23.6度
都市部と郊外部との気温差:4.0度

このような猛暑の原因としては、梅雨明け以降に南米・ペルー沖で発生したラニーニャ現象が挙げられる。その影響で勢力を強めた太平洋高気圧が、日本列島に居座り続けた結果、異例の暑さとなった。ペルー沖の太平洋で海面温度が平年より低い現象であるラニーニャ現象は、実に地球規模で天候に悪影響を与え、日本列島に猛暑をもたらした。

今年のような暑い夏の到来について、ラニーニャ現象だけでなく、地球規模での温暖化、さらに都市部が熱を溜め込んでしまうヒートアイランド現象を指摘する向きもある。

「加熱」する福岡の
ヒートアイランド現象

20世紀における100年間において地球全体として気温が平均0・7度上昇したと国連機関は推測している。一方、日本においても気象庁によると、国内平均で約1度の気温上昇している。福岡市では2・3度もの上昇をみせ、地球平均に対して3倍強、国内平均の倍以上の数値だ。

福岡市における気温の状態を見てみると、必ずしも一様ではない。概して、郊外部の気温は低く、天神地区や博多駅地区などの都市部へ近づくにしたがって気温が高くなる。福岡市の都心部と郊外部の気温では4度もの温度差が生じることもある。このようなに都市部の気温が、その周辺部に比べて高温になる状態は「ヒートアイランド」と呼ばれている。名前の通りは、気温分布上の等温線を描くと、都市部が浮いた島のように見えるのだ。

天神地区や博多駅などの都市部がヒートアイランド化して、暑く感じるのは、林立するオフィスビルやアスファルト道路の存在が大きい。都市を形成するコンクリートやアスファルトには蓄熱効果があり、都市が排出するさまざまな廃熱や照り付けた太陽熱を溜め込んでしまう。

さらにコンクリートやアスファルトで覆われた地面では、地中の水分を蒸発させることで生じた気化熱で熱を逃す機能も失われている。また、建物に据え付けられた空調機器が排き出す暖気、交通過密の原因となる自動車が排出する廃熱などにみられるエネルギーの大量消費が、都市部のヒートアイランド現象に拍車を掛ける。

最近、福岡市内でもよく見かけようになったマンションをはじめとする建物の高層化は、海や川などの沿岸部からの風の流れを遮った結果として都市部のヒートアイランド現象を「加熱」させているという指摘も出ている。

温故知新、注目集める「打ち水」効果


九州大学大学院 島谷幸宏教授

連日、夏日が続いた7月下旬の昼下がり、福岡市役所前のふれあい広場で彩り豊かな浴衣姿による小粋な「打ち水」が人々の目を涼しませた。市民をはじめ企業、学校、さらに行政機関も加わった「福岡打ち水大作戦2007」は、福岡県内4カ所で開催、住民からの関心や話題を呼んだ。「打ち水をやる人の表情は誰もにこやかで、実際に打ち水でさわやかな風が巻き起こるだけに、福岡の夏の風物詩に定着させたい」。全国的なブームになっている打ち水の仕掛け人であり、福岡打ち水大作戦2007代表を務める島谷幸宏・九州大学大学院教授は清々しい表情をみせる。

日本で昔ながらの習慣として、夏の暑い日に地面に水をまく打ち水は、ヒートアイランド対策としても注目されている。打ち水は、撒いた水が蒸発するときに生じる気化熱で地面の熱を大気中に逃がす、いわゆる「打ち水効果」をもたらし、表面温度を引き下げる。「打ち水で気温が約2度下がり、東京で打ち水をやると原発1基分の電力を節約ができる」と、島谷教授は熱心に説く。

緑化新技術で地場産業を育む


100種類以上の樹木が生い茂るアクロス福岡のステップガーデン

打ち水とともにヒートアイランド対策として注目されているのが緑化だ。先進的かつ大規模な屋上緑化として知られるアクロス福岡のステップガーデンには100種類以上の樹木が生い茂る。アクロス福岡の緑化エリアは、コンクリート表面に比べて約15度も低いという測定結果がある。

また今夏、福岡市役所では緑化の試みとしてベランダでアサガオを栽培、庁舎壁面に緑色の蔓を編み上げた。このような緑化は景観的な美しさだけでなく、気温上昇の抑制などによるCO2排出量を削減効果もある。これらの点を踏まえ、行政施設や広場をはじめ学校のグラウンドなどの緑化についても積極的に検討すべきではないだろうか。

たしかに緑化に際して、施工にともなう初期投資に加え、その後の手入れなどのメンテナンス費用が大きい。この点について、手間と費用が掛かる天然芝に替わって、打ち水効果に対応した保水性を備えた新型人工芝工法を地元で共同開発した。このような地元発の開発技術の採用・普及は、新たな地域産業の育成にもつながる。そのためにも行政による積極的な採用に加え、助成対象も含めた産学官による積極的な取り組みが求められる。

今後のまちづくりのキーワードは「水」「緑」「風」

最近、注目されているのが、都市における「風の道」づくりだ。表面温度が夏場低い海や川などの水辺、緑が多い郊外からの涼しい空気が都市部へ流れ込む「風の道」への期待と関心が徐々に高まっている。

哲学者・ヘーゲルの生誕地であるドイツ南部のシュトゥットガルト市は、大気汚染の緩和を目的に「風の道」を織り込んだ都市計画づくりで世界的に知られる。また、世界的にも建築が盛んなドイツの首都・ベルリン市はポツダム広場再開発で「風の道」に配慮した都市計画コンペを実現した。

一方、福岡市の新しいまちとして誕生したアイランドシティでは、まちづくりに「水」「緑」「風」の活用を織り込んでいる。ヒートアイランド対策のみならず、将来に向けたまちづくりにおいても「水」「緑」「風」が、重要な要素だ。(近藤益弘)

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※当ページの内容は、2007年9月29日発行の16号に掲載されたものです。

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