九州新幹線を追い風に、動き始める博多駅地区再開発
2005年12月29日発行の8号より
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2011年の九州新幹線全線開通を目標に建て替え工事がすすむJR博多駅ビル。近年、ビジネス集積が著しく、かつ業務エリアの広がりをみせる博多駅地区は、『新・福岡都心構想』でも、新たな都心の核のひとつとして、位置づけられている。九州新幹線の博多駅乗り入れが追い風となって、博多駅地区の再開発がいま、動き出そうとしている。
数字が表す、博多駅地区の台頭
かつて、福岡の都心は天神地区という「点」による一眼レフだったが、近年の博多駅地区の台頭により、天神地区―博多駅地区という二眼レフ化し、そしてひとつの「線」をなしつつある。もともと博多駅地区は63年に博多駅の現在地への移転を機に、周辺に大型ビルの建設が相次いだことで誕生した。その後75年には山陽新幹線が博多駅に乗り入れ、さらに福岡空港に近接するという利便性で、広域的なビジネス街として急速に成長してきた。
意外なことだが、博多駅地区の購買力は相対的に高い。「福岡市の商業」によると、博多駅地区の売り場面積1平方メートルあたりの2002年小売額は1910万円で、天神地区の同1280万円を5割近く上回っている。
また、博多駅地区における調査・情報サービス業の事業所数の増加も顕著だ。例えば、2001年までの10年間で、博多駅前1・2・3・4丁目と博多駅中央街と駅東1・2丁目と駅南1・2丁目の博多駅周辺では261事業所が増加したのに対して、天神1・3・5丁目からなる天神エリアでは、50事業所しか増えていない。
一方、ホテルの客室数についても2004年時点で福岡市内において最大の客室数を保有しているのは博多駅中央街で、その数は2149室にのぼる。また、2004年までの直近5年間で客室数がもっとも増加したのは、博多駅前2丁目の1077室というデータがある。博多駅地区にホテルが集中している要因として、福岡空港に近く、JR線をはじめとする九州内外への交通アクセスの良さが挙げられる。これに対して、天神地区では、中心部を避けて、周辺部にホテルを建設して供給するケースが目立っている。
これらの数字から類推しても、この10年間で博多駅地区の方が天神地区よりビジネス集積がすすんだことが想像できる。結果として、この20年間で博多駅地区の従業者数は天神・赤坂・大名地区を逆転し、都市中心部におけるビジネス街として地位を高めてきた。
「新・福岡都心構想」が描く博多駅地区の未来像
本誌が2004年11月に実施した博多駅地区に関してのアンケート調査では、「JR線、地下鉄線、新幹線があり、さらに空港への交通の便がよい」「遠距離交通の拠点である」「大手企業の支店や地場企業の本社も多く、ビジネス拠点である」「飲食店や宿泊設備が充実している」と評価する声があった。
その一方で、「商業施設が不足気味で、回遊性に欠ける」「天神地区には無いような商業施設や文化施設が欲しい」「駅および周辺公園のホームレス問題」「バス停が分散していてわかりにくい」「博多駅で分断されている駅南への公共交通網の改善」などの意見や要望があがっていた。
前述の「新・福岡都心構想」でも市民や民間企業などからの要望や意見なども取り入れ、博多駅地区に関して《広域的なビジネス街を活かした賑わいのまちづくり》を掲げている。
構想として、九州新幹線全線の開業を契機に交通アクセス点にふさわしい乗り継ぎ易さや歩行者動線の整備などを通じて、利用者にやさしいまちづくりをしていきたいとしている。また、広域業務の中心地区としての集積を活かした、商業・文化・知的交流などの都市機能を充実させたまちづくりを提案する。
具体的内容として、鉄道やバスなどの交通機関における相互乗換えの円滑化を図り、駅ビル内の水平や垂直移動の動線を再整備し、筑紫口側と博多口側とが一体となったビジネス街としての機能強化を図っていくとする。立体的なネットワークの充実と都心回遊の起点としての演出による新たな賑わいを創出していく考えだ。
さらにビジネスマンなどを支援する「学び」の機能を導入。都市高速道路から博多駅地区へのアクセス向上や行政サービス機能の導入を検討していく考えだ。そのためにも地区の市民や企業、団体などの参加によるエリアマネジメント組織を設立し、地区のまちづくり運営とまちづくりルール形成をして計画的な街の更新の必要を説いている。
動き出した博多駅ビル開発
20011年春の九州新幹線開通にあわせて
工事が進む博多駅ビルの完成予想図
台頭する博多駅地区の中核施設ともいえるJR博多駅が2013年、現在地に移転・開業して50周年となる節目の年を迎える。これに先立ち、2011年を目標とする九州新幹線の博多駅乗り入れが実現する運びだ。
九州新幹線の博多駅乗り入れが具体的になったことをきっかけに、地元の有識者や関係者らで組織する「博多駅地区まちづくり研究会」が、博多駅地区における将来的な開発の方向性を打ち出したことで、博多駅地区における新たなまちづくりの機運も高まっている。
また、都市の魅力と国際競争力を高めることを目的に設置された都市再生本部(本部長・小泉純一郎内閣総理大臣)は2004年5月、博多駅周辺地域を都市再生緊急整備地域に指定した。
博多駅周辺地域における主要プロジェクトとして位置づけられているのが、JR博多駅ビル整備事業だ。具体的には現駅ビルを建て替えて、約2万2千平方メートルの敷地に地下3階・地上10階建で、延床面積20万平方メートルの大型施設を建設する。駅をはじめ、百貨店や専門店に加えてエンターテイメント・サービスなどの機能を持たせた複合商業施設を設ける計画で、九州新幹線開通にあわせた2011年春の開業に向けて工事を進めている。この20万平方メートルという広さは、ビジネス棟を除いたキャナルシティ博多の延床面積に匹敵する規模だ。キャナルシティ博多クラスの複合商業施設が博多駅に出現する事態に「福岡にやって来る人の買い物のパターンが変わるかもしれない」とする福岡市内の開発業者の声もある。
注目を集める新駅ビルでは中央コンコース内に《賑わいの空間》を設け、上・下階への移動をはじめ、交通アクセス機能の向上を図っていく。さらに博多口と筑紫口をつなぐ新しい通路を設け、連携を強めていく考えだ。さらに2階デッキを設けて福岡交通センターをはじめ周辺との回遊性の向上を図る。博多駅開発にあたって、事業主体であるJR九州では、「九州新幹線全線開通を契機に九州全体の活性化を目指し、その中核となる博多駅を21世紀の《福岡》《九州》《アジア》の顔に相応しい駅にしたい」としている。
九州新幹線と周辺ビルの更新期が再開発の追い風
「偶然にも九州新幹線の博多駅への乗り入れ時期と博多駅周辺のオフィスビルの更新期は重なった」と、樗木武・福岡アジア都市研究所理事長はコメントする。通常、オフィスビルの寿命は30〜40年といわれている。意外にビルの寿命が短いのは、構造的には利用できても設備や設計が時代の流れに合わなくなってきたためだ。
現在のオフィス環境は個別空調は当然として、パソコンやインターネットの普及に対応した、大容量の通信回線や電力を供給できるインフラが不可欠となっている。また、最近注目を集めている耐震基準に関しても、現在適用されているのは81年制定の新耐震基準であり、また建築基準法も阪神・淡路大震災後に2回改正されている。
博多駅周辺のビルは、博多駅開業を機に完成した建物が多く、構造的にも、機能的にも更新時期が迫っているのは事実だ。また、改装して補強するより新築した方が割安な場合が多いという現実もある。JR九州が取り組む博多駅ビルの建て替えが先鞭となって、博多駅地区の再開発事業が一気に動き出す可能性がある。(近藤益弘)
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※当ページの内容は、2005年12月29日発行の8号に掲載されたものです。







