フォーラム福岡

天神および博多駅の開発シナリオ天神写真

生まれ変わる博多駅地区 - 博多駅地区の挑戦

2004年11月30日発行の創刊2号より

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《九州の玄関口》である博多駅が誕生50周年を機に周辺地区を含めて大きく生まれ変わろうとしている。名実ともに全国に、そしてアジアに向けた《九州の顔》としての博多駅地区が描き出す青写真をもとに将来に向けた、まちづくりを追う。

九州新幹線の乗り入れが予定されているJR博多駅
九州新幹線の乗り入れが予定されているJR博多駅

誕生50年にして生まれ変わる博多駅地区

2013年―――JR博多駅が現在地に開業して、50周年を迎える。今年3月に新八代〜鹿児島中央駅間の部分開業した九州新幹線は、2013年頃の全線開通によるJR博多駅乗り入れを目指して建設工事が進む。また、JR博多駅には来年2月に開業する福岡市営地下鉄3号線の延伸ルートのひとつとして将来的な乗り入れも構想されている。また、博多郵便局の敷地も民営化後に移転・売却との見通しもある。博多郵便局は九州全域への物流機能と博多地区での集配機能を持つが、前者については郊外に用地を手当て済みとみられ、駅前の再開発に向けての動きもある。

「これからの10年は、博多駅周辺ビルの更新時期と九州新幹線の乗り入れが偶然にも重なる」と、樗木武・九州大学名誉教授はみる。オフィスビルの寿命は約50年といわれており、JR博多駅の周辺にあるビルの多くは博多駅開業を機にできたものが多く、建物としての更新時期が今後迫ってくるのは紛れも無い事実だ。JR九州が計画を進めているJR博多駅ビルの建て替えと一体となった形での博多駅地区の都心改造がいま、動き出そうとしている。

博多駅地区の青写真を描く「博多駅地区まちづくり研究会」

「博多駅地区まちづくり研究会」(座長・樗木武氏)は、将来的な博多駅地区周辺におけるまちづくりのグランドデザインを構想し、第一次報告として「博多駅地区における交通結節点とまちづくりのあり方」を発表した。

報告書では、公共交通の結節点として現在の博多駅が極めて脆弱であることを認識した上で、『時空を超えて、人が真ん中にいる駅のちまた“博多”』をコンセプトとして、交通機関相互のアクセシビリティの向上による結節機能の改善と駅を拠点とした地区全体の回遊性を高める必要性を説いている。

実現に向けてのイメージとして「人が真ん中のまち」「集い、楽しみ、にぎわうまち」「人に優しく、もてなしが広がるまち」をあげ、《九州の玄関口としての顔づくり》と《多様で活発な交流と経済活動の実現》を目指すとする。

生まれ変わる博多駅地区

都心改造で高まる博多駅地区の交通機能

《はかた駅前通りは、セミトランジットモールとして再構築する》《駅前広場は、人を中心とした、人のための広場空間とする》《駅前広場内への直接的な一般車の乗り入れは原則的に排除する》......、博多駅地区まちづくり研究会では、新しい博多駅の特徴をこの3点に集約している。

従来から博多駅地区は、分散する交通機関乗り場のわかりづらさ、不足する都市広場機能、バスやタクシーによる人の流れの遮断などが問題点として、指摘されていた。これらの課題を踏まえ、博多駅地区まちづくり研究会では、「『都市サービス機能』を担うJR博多駅の駅前空間(駅ビル、駅前広場等)は、『交流核となるまちのなかに駅がある』」をイメージしている。

基本概念※クリックすると拡大
博多駅地区まちづくり研究会が発表した博多駅地区における交通結節点とまちづくりのあり方の基本概念

まちづくりに向けての指針としては、交通結節機能に関しては博多駅周辺を公共交通ゾーンと一般交通ゾーンに分けて、公共交通機関の結節点として再構築していく考えだ。提言では博多口ならびに筑紫口の北側半分を公共交通ゾーンとして整備し、博多口ならびに筑紫口の南側半分については一般交通ゾーンとして再編していく構想となっている。

具体的には博多駅周辺に分散しているバスの乗降場を集約して、バス交通の利便性を向上させたいという。また、待機車両が通行の妨げとなっているタクシーの乗降場についても集約して都市広場として有効活用を図る。また、博多駅周辺における車の流れを整流化させるために博多駅周辺部をセミトランジットモール化させていくプランだ。

一方、筑紫口においては、バス・タクシーに加えて観光バス施設を集約化していくとともに駅前広場周辺の再開発と連動した新たな都市機能の誘導を図り、人の流れをつくる。

博多口とともに筑紫口も一体となった整備を構想する
博多口とともに筑紫口も一体となった整備を構想する

博多駅地区のオフィスビルも更新期に近づきつつある
博多駅地区のオフィスビルも更新期に近づきつつある

駅前広場がつくる博多駅の新しい顔

駅前では公共交通ゾーンと人回遊ゾーンを構想

JR博多駅の南側半分に想定する一般交通ゾーンにおいて「まちのにぎわい」を生む《交流核の形成》として提唱しているのが、駅前広場だ。駅前広場については、人々が集い、憩う交流空間として、シンボリックな空間要素も含めて、太陽光を十分に取り入れた半地下式の公園であるサンクンガーデン等を構想している。サンクンガーデンを設けることで、地上と地下との連結した光あふれる地下街を形成でき、合わせて歩行者の回遊拠点として地下街との出入口を再整備していく考えだ。

地上だけでなく、地下における人の流れを設け、さらに各建物を空中回廊でつなぐことで、地上・地下・空中と多層的に人の流れをつくりだすこともできる。具体的には新駅ビルと交通センター、新三井ビルを空中回廊で結ぶ構想もある。さらに地区全体としてユニバーサルデザインにも配慮した新しいまちづくりへの可能性も秘めている。

さらに、駅前広場を公園として整備していくメリットのひとつとして、条例で定められているビル個別の付置義務駐車場を街区内で集約できる点が挙げられる。駐車場の地上部分を公園とすることにより、憩い空間を創出し、快適な歩行者ネットワークを形成し、さらに駐車スペースの確保にも寄与するという一石二鳥ともいえる構想である。

回遊性を生む歩行者動線に注力する
博多駅地区まちづくり研究会では、回遊性を生む歩行者動線に注力する

はかた駅前通りをセミトランジットモール化

「集い、楽しみ、にぎわうまち」...。この理想の実現に向けて、博多駅地区における建物低層部に《集客》をキーワードとした施設や店舗などの導入を訴えている。

これまで、博多駅地区はビジネス街として発展してきただけにまちとしてのにぎわいに欠けていたのは事実だ。九州の玄関口として、そしてアジアへ向けた窓口としての役割をもとめられるだけに博多が、「にぎわうまち」であることが求められる。そのためにも博多が《人が真ん中のまち》となり、人々が歩きたくなるようなまちとしていくために、歩いて楽しめるポイントをまちのあちらこちらに散りばめる仕掛けが求められる。

この考えにもとづき、戦略的な歩行者空間として、博多口からキャナルシティ博多に向かう通りをはかた駅前通りと名づけて、歩行者・自転車・公共交通機関を優先するセミトランジットモール化を構想している。現在の5車線を3ないし4車線に減少させ、歩道を拡大し、自転車レーンを設け、通り沿いにはオープンカフェやオープンショップ、アンテナショップなどを設置して、にぎわいを演出する考えだ。また、はかた駅前通り周辺にミニ公園であるポケットパークや建物の公開空地などを設けて、地域内の回遊性の向上も図っていく考えだ。また、ITを活用した歩行者向けての移動支援システムも構想している。

キャナルシティに向かうはかた駅前通りとともに博多部に向かう大博通りでは駐輪施設の地下通路への移設によって広がった歩道空間とポケットパークでビジネスストリートににぎわいをもたらす。一方、渡辺通り・春吉地区につながる住吉通りでは、歩道の拡幅と自転車レーンを新設していくことになっている。

セミトランジットモール
博多駅前からキャナルシティに抜けるはかた駅前通りで構想するセミトランジットモール(上図は3車線の場合)

50年に一度のチャンス

「博多駅地区は天神より恵まれている。基本は現在地での建て替えであり、民間の経済活動の範囲内での取り組み」と、樗木教授が博多駅地区における特色を解説する。たしかに民間主体の取り組みであり、博多地区まちづくり研究会も博多駅地区に事業拠点を持つ法人および専門家で組織され、九州地方整備局や九州運輸局、福岡県、福岡市はオブザーバーとして参加している。

このため、博多駅地区における都心改造で課題となるのは、分散型から集約型への転換における交通センターのキャパシティの問題、タクシー乗り場および待機場の問題、都市計画におけるインセンティブの有無などになってくる。

公共交通ゾーンにおける交通センターの役割が高まる
公共交通ゾーンにおける交通センターの役割が高まる

また、事業体ごとの事業となることが多いため、歩いて楽しくする1階スペースのオープン化やポケットパーク整備のための公共空間活用などの調整が求められる。これらの調整やまち全体としてのデザイン的な調和などに取り組む第三者委員会としてのタウンマネジメント機関(TMO)をどう成功させるかがカギとなる。関係者が集まり、知恵を出し合いながらまちづくりを担っていくという主体的な取り組みがいま、求められる。

「博多駅地区の都心改造は50年に一度のチャンス。今回を逃せば、次は半世紀後になる」と、博多地区まちづくり研究会の事務局を務める九州・山口経済連合会の担当者も力説する。都心改造に向けた博多駅地区の取り組みは、いま動き出そうとしている。(近藤益弘)

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※当ページの内容は、2004年11月30日発行の創刊2号に掲載されたものです。

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