社会の変化が経済を変える
2004年11月30日発行の創刊2号より
「社会の変化が経済を変える」に対する皆様のご意見ご感想をお待ちしております。
コメント受付フォームよりお送りください。>> コメント受付フォーム
いま、福岡は都心から動き出そうとしている。社会が大きく変わり、経済に変容を与え、知識経済化の流れのなかで、都市に暮らす人々のライフスタイルや価値観も変わりつつある。従来の都市開発が終わりを告げ、魅力ある創造的なまちづくりの鼓動がいま、始まろうとしている。
人々の都心回帰が始まった
21・36パーセント、38・31パーセント、55・44パーセント。福岡に暮らす人々の都心回帰を象徴するような数字がならぶ。この数字は93年、98年、2003年における福岡市内でのマンション販売戸数中央区と博多区が全市に占める割合を数字に表したものだ。
バブル崩壊後においても「日本一元気な街」といわれていた福岡は地価の高さもあり、郊外型マンションが主流だった。その後、地価の下落もあり、マンションメーカーからの都心型マンションの供給も増えて、結果として人々の都心回帰が始まった。
いま、都心のなかでも注目されているのは、都心改造の計画が進む博多駅地区だ。「依然続く地価の下落に加え、都心にある大通りの路地裏にある立地では商業店舗やオフィスビルでは収益面での効率が悪く、結果としてマンション化していき、博多駅地区でも居住人口は増加していく」と、麻生敏雄・大和不動産鑑定取締役九州支社長は今後をみる。
福岡市内の4割強が単独世帯
福岡市の人口は、2003年末時点において138万人で、その世帯数は63万世帯によぶ。その一方において、世帯当たりの人員は年々減少していく方向になり、2003年末では、2・18人になっている。85年時点での人口116万人、43万世帯に比べても、人口の伸びが19パーセントなのに対して、世帯の数は46パーセント増という数字が如実に物語っている。
世帯の小規模化が進むなかで、特に伸びが著しいのは単独世帯数で、直近の国勢調査である2000年時点で福岡市の世帯のうち、実に43・1パーセントが単独世帯となっている。
今後もこの傾向は続くと予想され、2015年における福岡市の総世帯数は71万世帯強と予想され、平均世帯当たりの人員は2・04人になると見込まれている。このような平均世帯人員の低下は、女性の未婚率の上昇であり、ひいては《デパ地下人気》を支えているとも言われている。単独世帯や小規模な核家族世帯の増加によるものと考えられるだけに、今後の地域におけるコミュニティの形成においてもあらたな課題になる可能性も萌芽しているといえる。
犯罪・交通事故の多い福岡の安全性
13政令指定都市において交通事故発生率でワーストワン、犯罪発生率で大阪市についでワーストツー......。政令指定都市13についてのデータをまとめた大都市統計協議会『大都市比較統計年表』(2002年)では、福岡市の安全面での脆さを数字で立証した結果となった。
福岡市では人口1000人あたり10・87回の交通事故が発生しており、この数字は同じ政令指定都市において発生率の低さで上位を占める川崎市、仙台市 、札幌市の約1・7倍ないし1・8倍もの発生率になっている。
交通事故の発生に関しては道路事情を含めた構造的なハード面の問題に加え、車輌の交通量、さらに交通マナーなどのソフト面まで含めて、複雑な要素が噛み合っているのが事実であり、是正に向けてトータルに取り組んでいく必要がある。
同じく犯罪発生率においても人口1000人あたり4・2回の犯罪が発生している 。この数字は政令指定都市で最も発生率が低い横浜市の約倍近い犯罪発生率となっているのが現状だ。
たしかに社会の変化や不安定化、凶悪犯罪の発生などで人々の安全に対する不安感と危機感は高まっている。安全性の確保は、都市機能の最も重要な要件のひとつであり、住みやすさや都市自体の魅力の大きな要素といえる。
このことを踏まえ、市民、事業者、公安などの関係機関・団体と連帯して、自主的な地域安全を確立し、犯罪が発生しにくい都市基盤整備や生活環境づくりを進め、犯罪のない住みやすいまちづくりがいま、求められる。
放置自転車ワーストワンのウソ・ホント
昨年度もまた、天神駅が放置自転車の多い駅で全国1位になってしまった。福岡市営地下鉄とともに西鉄福岡駅があり交通の要衝であり、九州随一の繁華街でもある天神地区の周辺で放置自転車が目に余るのは事実だ。昨年度の調査では、天神地区で確認した6800台の自転車のうち、実に4210台が放置自転車と確認された。この台数は、2位の大阪駅・3334台、3位の名古屋駅・2851台を大きく上回る数字となっている。
もっとも、放置自転車対策に無作為だったわけではない。今年6月現在で天神地区には3つの市営駐輪場があり、収容台数は3280台におよぶ。条例により、一定以上の規模の建物に義務付けられている附置義務駐輪場は、天神地区で39カ所・3370台となっている。一方、昨年度は放置自転車の撤去を54回実施し、延べ8150台を移動させた。また、サイクルアンドライドの観点による地下鉄の駅付近での駐輪場整備に力を入れており、来年2月に開業する地下鉄3号線の16駅あるのうち、14駅で駐輪場を整備している。また、モラル・マナーの向上を目指し、キャンペーンや啓蒙活動を展開しているが、放置自転車ワーストワンを返上できるかどうか、雲行きは怪しい。
放置自転車の調査については、各都道府県の市および東京都特別区および三大都市圏の町村を対象に実施し、1駅あたり100台以上の放置自転車があった駅は全国で1165駅あったと報告している。
全国的な調査ではあるが、駅周辺にある放置自転車についてのカウントの仕方はバラバラなものとなっている。駅周辺の半径×××メートルといった規定は、各自治体で駅周辺と判断したエリアで放置自転車を調査し、集計しているのが現状だ。このため、調査範囲を広く取れば、当然台数は増え、逆に狭くすれば、台数も減少することになる。ちなみに天神駅の場合は天神1丁目・2丁目・3丁目・4丁目および大名・今泉地区を調査対象としている。
このため、厳密な意味で天神が放置自転車ワーストワンなのか、どうかは断言できないものの、はっきりしていることは福岡市の都心である天神は適度な都市規模に加え、フラットな地形により自転車でのアクセスが容易な点である。近年、歩行者と自転車を優先するトランジットモールが都心改造においても注目されるなか、自転車を包含した交通アクセスが今後重要になってくるものと考えられる。 (近藤益弘)
「社会の変化が経済を変える」に対する皆様のご意見ご感想をお待ちしております。
コメント受付フォームよりお送りください。>> コメント受付フォーム
※当ページの内容は、2004年11月30日発行の創刊2号に掲載されたものです。
