フォーラム福岡

パブリックアクセス誌フォーラム福岡

国際都市ネットワークにおけるFukuoka

2010年1月31日発行の29号より

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今年7月、福岡市で国際都市ベンチマーク協議会年次総会が開催される。先進的な知識創造都市の集まりである同協議会では、まちの魅力づくりについて語り合う。世界の先進都市におけるFukuokaの位置づけや今後の方向性について考えてみる。

国際地域ベンチマーク協議会とは何か

シアトル(アメリカ)、バルセロナ(スペイン)、ダブリン(アイルランド)、ヘルシンキ(フィンランド)、ミュンヘン(ドイツ)、ストックホルム(スウェーデン)、メルボルン(オーストラリア)、バンクーバ(カナダ)、大田(韓国)、そして福岡―――。


福岡市経済振興局 国際経済部企業誘致課長 天本俊明さん

これらはシアトルの呼び掛けで発足した国際地域ベンチマーク協議会の加盟都市だ。国際地域ベンチマーク協議会については「シアトルに似た世界の知識創造都市の集まりであり、魅力ある都市形成や住み易いまちづくりに向けて成功事例を発表・共有していくことで加盟都市の国際競争力の向上を図っている」と、福岡市経済振興局企業誘致課長の天本俊明さんは解説する。福岡市は、都市連携によって世界的な都市ネットワークを持った都市といえる。

福岡市の国際都市ネットワーク入りの経緯

世界航空産業の雄・ボーイング社、世界最大手のコンピューター関連・マイクロソフト社、世界的なカフェチェーン・スターバックス社など、著名な企業の生誕地として知られるシアトルは長年、世界各地へ都市視察団を派遣してきた。

福岡市の経済交流都市であるシアトルに以前、福岡市の現地事務所が存在した。神戸市と姉妹都市のシアトルにある兵庫県事務所内に2001年7月から2年半余、福岡市はシアトル事務所を構えていた。

この間、シアトルの行政当局をはじめ、経済団体や民間企業などとの関係づくりに取り組む。この成果のひとつとして、2004年9月にシアトルから貿易視察団が来福。さらに2007年5月、70人規模の都市視察団が訪れ、1週間に渡って福岡・九州の経済関係者との交流を図った。

このような視察実績に加え、シアトルと重層的な交流・接触を重ねた結果、国際地域ベンチマーク協議会の発足に際して、シアトル側から日本の都市で唯一、福岡市に呼び掛けがなされた。

2008年6月にはシアトルでの国際地域ベンチマーク協議会の設立総会へ吉田宏・福岡市長を団長とする訪問団を派遣した。

国際地域ベンチマーク協議会の取り組み


アントニガウディの代表作サグラダ・ファミリア(世界遺産)

ガウディ建築で知られる文化と芸術のまち、スペイン・バルセロナ。昨年11月、国際地域ベンチマーク協議会の加盟10都市にオブザーバー参加の3都市を加えた計13都市・約100人が参加した第2回国際地域ベンチマーク協議会年次会議が開催された。

会期中、「人材(Talent)」「創造性(Creativity)」をテーマに各種パネルディスカッションやプレゼンテーションが開かれた。会場では「経済競争の原動力となる創造性やクリエイティブ産業」や「創造的な都市づくりに向けた人材誘致や流出防止」などについて活発に意見を交わす参加者の姿がみられた。

求められる都市戦略のビジョンや都市デザイン

「世界のデザイン首都戦略」(ヘルシンキ)、「3E(教育・環境・経済)戦略」(シアトル)、「官民協働での文化芸術・クリエイティブ産業の形成」(ストックホルム)、「地域文化設計戦略」(バンクーバ)……。参加した各都市は会議やプレゼンテーションの場において、それぞれの都市が描くビジョンと都市経営の戦略について明確に打ち出していた。

プレゼンテーションに際して福岡市は、質の高い生活や先進的な教育・研究システムやプロジェクト、歴史ある文化行事、豊かな自然などを紹介した。もっとも、他都市による戦略ビジョンや都市デザイン重視のプレゼンテーションに比べて「いまひとつ明確に見えてこなかったのではないか」との声も福岡の参加者から聞かれた。

これらの点も踏まえながら、「国際競争力の向上を目的に各都市が参加する国際会議の場においては、都市としてのブランディングが重要になってくる」「わかりやすい都市のあり方や戦略について、参考例や意見を聞きながら、福岡市のまちづくりに生かしていきたい」(福岡市国際経済部)とする。

今年7月、福岡で国際地域ベンチマーク協議会開催へ


昨年11月、スペイン・バルセロナで開催された国際地域ベンチマーク協議会の模様

シアトルから、バルセロナを経て、福岡へ――。

国際地域ベンチマーク協議会が毎年持ち回りで開催している年次総会が今年7月、福岡市で開かれる予定だ。

今年の年次総会では、『国際知識経済都市会議』の名称で、産学官で準備がすすめられている。期間中、加盟9都市などの産学官のまちづくり関係者らが、博多祇園山笠で賑わいをみせる福博のまちにやって来る。

国際地域ベンチマーク協議会の加盟都市はモノづくりの産業都市ではなく、優秀な人材が集まって豊かな生活を営む『知識創造型都市』だ。福岡での年次総会は、21世紀型のまちづくりに取り組む都市による議論の場といえる。

今後、福岡の都市戦略やまちづくりのビジョンを描いていく上で国際地域ベンチマーク協議会の存在は大きい。また、そのネットワークを今後の都市経営において如何に活用するかが、カギになりそうだ。

世界都市ランキングにみるFukuokaの位置


『MONOCLE』誌

世界都市ランキング3位東京、16位福岡、22位京都――。欧米やアジアなど世界82都市で発売するグローバル雑誌『MONOCLE』(英国・ロンドン)が昨年6月に発表した「世界で最も生活水準の高い都市 TOP25」2009年版で福岡は、前年から順位を一つ上げて16位にランクされた。

『MONOCLE』誌は、福岡について「開放的な気風を持ち、生活を心地よく楽しめる都市であり、日本のあらゆる大都市に備わっている利便性に加えて、海外へ目を向ける『外向きのエネルギー』も合わせ持ち、この二つを組み合わせている」と評する。同誌のランキングに国際地域ベンチマーク協議会の加盟都市のうち、福岡も含め7都市がランクインしている。

Fukuokaの長所と課題

『MONOCLE』誌以外に福岡がランクインする世界都市ランキングは、森記念財団都市戦略研究所『世界の都市総合力ランキング』がある。昨年9月、世界の主要都市として35都市を選び、経済、研究・開発、文化・交流、居住、環境、交通アクセスを総合評価、福岡は30位の格付けだった。この他、『News week』誌(2006年7月3・10日合併号)で世界の主要国で急成長を遂げる「最もホットな10都市」に選ばれたこともある。

『MONOCLE』誌や森記念財団都市戦略研究所、『Newsweek』誌などによる福岡への評価ポイントとしてはコンパクトで便利な都心、整備された都市インフラ、自然の豊かさ、食のおいしさ、物価の安さ、開放的な気質などを挙げる。その一方、福岡の課題として取り上げられるのは本誌巻頭言でも指摘する、「福岡の未来がみえない」「次なる成長戦略が描けない」という点だ。

国際地域ベンチマーク協議会の加盟都市に限らず、世界の各都市は、国際競争力の向上に力を注ぐ。この状況下、福岡がどのような都市戦略を打ち出し、どのような都市デザインを描き出すのか、大きな試金石にとなる。

21世紀型の知識創造型都市づくりに向けて

福岡市は1987年、基本構想において『活力あるアジアの拠点都市』を都市像のひとつに掲げて、アジアとの国際交流に力を入れてきた。

アジアマンス、アジア太平洋フェスティバル福岡、福岡アジア文化賞、アジアフォーカス福岡国際映画祭、アジア太平洋こども会議イン福岡、アジア太平洋都市サミット……。これまで一定の成果を挙げつつも、果たしてアジアの各都市・地域が福岡へどれだけ目を向けているのか、あるいはFukuokaの知名度がどの程度浸透しているか、定かでない。

こうしたなか、Fukuokaが国際的な『知識経済都市』のネットワークを持つことは、アジアの各都市・地域に対するプレゼン力となり、その存在感を増すことになる。そして、福岡の都市機能が高まることは、九州にとってもプラスであり、『Fukuoka/Kyushu』が、アジアにおいて注目される、魅力的な存在となる可能性を秘めている。(近藤 益弘)

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※当ページの内容は、2010年1月31日発行の29号に掲載されたものです。

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