スターフライヤー社長インタビュー
「北九州の翼」として就航したスターフライヤー
産業の道具としてわれわれを活用してほしい
2006年7月26日発行の11号より
「スターフライヤー社長インタビュー『北九州の翼』として就航したスターフライヤー 産業の道具としてわれわれを活用してほしい」に対する皆様のご意見ご感想をお待ちしております。
コメント受付フォームよりお送りください。>> コメント受付フォーム

世界に類を見ない漆黒と白の機体で就航したスターフライヤー。北九州市に本社を置き、北九州の地元企業が多数出資し、北九州空港を拠点に路線を張る、北九州の地元のエアラインだ。地方の新空港として最大の課題である路線誘致の問題を一気に解決し、開港当初からにぎわいをもたらしたという意味では、スターフライヤーの貢献は大きい。同時に地元エアラインの就航を支援した地域の行政や企業によって立ち上がった航空会社であり、地域を挙げてのプロジェクトだともいえる。就航3カ月の状況や地域との取り組みなどについて、堀高明社長に聞いた。
堀 高明(ほり・たかあき)氏
1949年1月生まれ。長崎県出身。73年4月東亜国内航空入社。大手航空会社の乗員基礎訓練を受託するエクセル航空社長などを経て2002年12月にスターフライヤー設立、社長に就任。
就航3カ月半で20万人が利用 早朝・深夜便は予想通りの苦戦
3月16日の就航から6月30日までのスターフライヤーの搭乗者数は20万387人。搭乗率は平均で55・7%。一般的に採算ラインといわれる60%には届いていないが、一日12便のうち昼間時間帯の9便のみでみると61・7%。同じ昼間の時間帯に一日5便を運航しているJALは54・1%であることを考えると、健闘しているといえる。課題は早朝・深夜帯で、37・0%と苦戦している。当初から予想されていたことではあるのだが・・・。
堀 高明社長「旧空港の時に比べて北九州―東京便は5倍の供給量になっているが、だからといっていきなり利用者が5倍に増えることはありません。そう考えると、今の実績はまあまあかな、というところでしょうか。昼間の時間帯については、もう少し取れてもよかったかな、とも思います。ただ、4、5、6月は元々航空業界の多需要期ではないことや、福岡空港の福岡-東京便については各社がかなり安い運賃を出していたことを考えると、健闘しているといえるかもしれません。細かく見ると4月の春休み、5月のGWは予想以上に動いているので、7、8月は上がってくることが予想できます。一方で各社の運賃も7月以降、戻してきているので、当社の割引運賃と変わらない水準になります。また、期間限定ながら9800円という格安便も提供するので、福岡空港からシフトする利用者も出てくると思う。早朝深夜便は予想通り苦戦してますね。37%では悪すぎます。行動様式が変わるには時間がかかりますから、少なくとも今年度中は告知期間だと考えて、来年度以降は目標である50%を達成できると思う。ただ、苦戦しているとはいえ、土曜日の朝5時半の東京行きは80%を超えている時もあります。日帰り、あるいは1泊でディズニーランドなどに行けるなどお客様の選択肢が広がっているように感じます。北九州発は早朝深夜ともそれなりの利用があるんです。逆に問題なのが東京発の便。東京では羽田に行くのが早朝深夜では自家用車しかない。北九州では駐車場が24時間390円なのでそれでも利用があるが、東京ではそうはいかないので、例えば東京の早朝深夜便を利用されるお客様には駐車場代を補助するなどのプランも検討しています」
一方で、定時運航率は3月こそ78・1%と遅れが目立ったものの、6月は96・9%と、ほぼ定刻運航を実現している。欠航率も1%以下で推移している。他社と比較しても、新規航空会社の定時運航率は90%程度、大手も95%には届かない。欠航率で1%を切っているところは大手含れていない。また、座席の広さも利用者の評判を買ってるようだ。
堀社長「お客様の多くを占めるビジネスマンのみなさんにとって、安定運航がなにより大事なサービスですから、この部分ではいいレベルにきていると思います。また、今のお客様はたとえ運賃が安くても同時に快適性を求められます。だからわれわれとしては通常170席程度設置できる機材なのですが、144席しか設けていません。おかげで「座席が広くていいね」と多くのお客様に言っていただいています。遅れず、欠航せず、快適な旅を提供することが、口コミの評判になってくれればと思います。これまでの福岡空港の福岡―東京便の年間利用者810万人のうち、12%程度、つまり約100万人が北九州地域の人だといわれています。そのうち、30%は西側で福岡空港に近いエリアなので、70万人は除々に北九州空港の便利さが分かって利用していただけるようになるのでは。そうなると、採算ラインの目安である60%が達成できます」
早朝・深夜は北九州が首都圏の隣にある空港・航空会社は地域に必要なインフラ
堀社長らが新規航空会社を設立しようと考えた時、先行していた新規航空会社の事例も参考にしながら考えたのが、新空港で、24時間運航可能であることだった。機材効率を上げれば新規会社でも採算が取れると考えたのだ。羽田の発着枠を新規会社に優先的に割り当てるという国の政策、そして北九州空港の開港というタイミングが見事に一致して、スターフライヤーの就航が実現した。株主には、TOTO、安川電機、第一交通産業など北九州の地元企業や九州電力、西日本鉄道、トヨタ自動車九州、日産自動車、新日鉄といった顔ぶれが並び、名実ともに北九州の地元会社となった。
堀社長「地元のみなさんの応援なくして、今はありません。初めて北九州市役所を訪れたのが2003年7月でしたが、その時に私たちのプランに賛同していただいたのが大きかった。その後、地元の財界から出資をいただいて、7月14日時点で資本準備金も入れると50億7640万円になります。私たちだけでは絶対にこれだけの資本金は集まっていない。末吉興一市長をはじめ、残念ながら亡くなってしまった大迫忍さんや、北九州商工会議所の重渕雅俊会頭など、リーダーシップを持っていらっしゃる方が率先して旗を振っていただいたおかげです。株主のみなさんには株主優待券を出していますが、これもかなり利用していただいていて、コストダウンにも貢献できているようです。出資5万円につき1枚ですから、投資効率はいいですよ(笑)。地域の会合などに出席させていただくこともありますが、その度ごとに「宣伝しろ」と時間をいただけます。非常にありがたいですよね。北九州だからこそのことだと思っています」
航空会社が路線を張ることは地域の経済・社会にとって重要な意味を持つ。一方で民間会社として採算も確保しなくてはならない。空港や航空会社が地域に果たす役割とは?北九州空港の可能性は?
世界に類を見ない漆黒と
白の機体で就航したスターフライヤー機
堀社長「日本中の商売の相手が首都圏であることを考えると、首都圏との時間軸を考えた場合、早朝・深夜は名古屋よりも大阪よりも北九州が首都圏の隣にある、ということは、非常に大きいと思います。今年中には貨物専門のギャラクシーエアラインズ社が深夜の貨物便を就航される予定で、本格的な24時間空港となりますが、われわれやギャラクシー社を産業の道具として、地域のみなさんに活用していただきたい。東京と24時間常に結ばれているということで、北九州に工場などを置いてもいいという東京の人の判断もあるでしょう。そういう意味で、地域にとって必要なインフラであると思います。創成期としては客が乗らなくても飛んでいることで始まるという側面があります。この時期が我慢の時期で、地域とともに走る、地域の人たちもそれを理解して無理をしてでも乗ってあげる、というのがあれば持ちこたえられる。便利になるまではよそを使って、便利になったら乗ってあげるよ、ではなかなか難しい。この点では、地域のみなさんの支援をいただいてスタートできたことは、私たちにとっては幸せなことでした。この地域はまだまだ可能性があります。既に上海便も就航していますが、当社でも来年2月に東京便を増便し、さらに来年末あたりには国内の新しい路線を就航させたいと考えています。そしてその次には、上海など東アジアに飛ばしたいですね。その時には、東アジアが日帰り圏となるようなダイヤを組みたいと思ってます。地元の会社ですから、北九州を朝発って夜に戻れる、あるいは一泊して翌朝に帰れるようにしたいと思ってます。地元の人たちにとって使いやすいダイヤを組むことができるのは、地元の航空会社だからこそなんです。もっと路線のネットワークも増やせると思います。地域経済・社会も、土地代、人材の質と多さなどいい条件がそろっています。私たちも北九州空港の可能性をさらに活かす一翼を担うつもりでいます」
「スターフライヤー社長インタビュー 『北九州の翼』として就航したスターフライヤー 産業の道具としてわれわれを活用してほしい」に対する皆様のご意見ご感想をお待ちしております。
コメント受付フォームよりお送りください。>> コメント受付フォーム
※当ページの内容は、2006年7月26日発行の11号に掲載されたものです。
