フォーラム福岡

福岡の未来を決める 新「福岡空港」空港写真

福岡の未来を決める新「福岡空港」

2004年6月25日発行の創刊予告号より

国が本格的な調査に乗り出した「福岡空港問題」。
だが「何年かかるかわからない」調査手法に疑問の声も

外された経済界、調査手法に疑問の声も

新空港の建設を願っていた地元自治体や経済界の要望は、いったん白紙となった。しかし、国が3案を提示したのは「新空港をつくるにしても、できるまでの十数年は現空港の機能強化や近隣空港との連携が必要になってくる。いずれにして3案すべて調査する必要がある」(国土交通省)と説明している 。将来の予算化も含めて正式にレールに乗った、ということで、調査の動向に期待が高まっている。

しかし、一方で、いくつかの課題も見えてきている。関係者が現在、最も頭を悩ませているのが、複雑な調査手法と多岐にわたるテーマ、それにいつまでかかるか分からない、という不安だ。

調査は、まず現在の福岡空港のサービスの評価基準づくりから始まって▽アンケートによる実際の調査▽需要分析と特性把握をベースにした有効活用方策の検討▽地域からみた福岡空港の役割と効果 の検討ーーといった項目が 2003〜4 年度にかけて行われている。その後は、調査結果を基にした空港能力の見極めや滑走路増設、新空港の可能性などに進む予定だ。

これらの テーマはそれぞれで国と地域で担当が細分され、連絡調整会議で持ち寄られたものがPIに掛けられる。地域側の主体となる福岡空港調査委員会では、空港に関する専門家や地域の代表など11人で構成され、福岡県と福岡市から派遣された事務局12人が実務にあたっている。

この体制でこれだけ多くのテーマが果たしてさばけるものなのか。内容についても、調査のための調査、といった初歩的なところからスタートしており、議事録を見ると、委員と事務局の苦労が垣間見える 。しかも、この一連の調査は、何年かかるか分からない。

「PIの4段階について 、それぞれ1年くらいかな、というおおまかの目安は考えている。しかし、実際にひとつのテーマについてPIの対象から調査の差し戻しを促すような結果が出た場合は、その分、調査期間が延びる 。結論ありきの委員会にはしたくないので、年限を決めずに、きちんと段取りを踏むことにしている 」というのが 、委員会と国による説明だ。

おおまかには、4年くらいでPIを終えれば、なんらかの方向性が出るのが2008年。ちなみに、羽田空港の拡張工事が完成するのが09年。その後は国としては空港関連の新規事業がないことから、そのあたりが落としどころだろう、という見方は関係者の中では一致している。

しかし、そんな不明確なことでいいのか、という声はあちこちから聞こえてくる。例えば、経済界。これまで、福岡空港の問題について、地元の経済界は県や市と一 緒になって調査や提言を行ってきた。それが、今回の調査委員会の発足に合わせて、体制の枠外に置かれてしまった。

経済界にしてみれば、これまで人もカネも出して調査やプランづくりを行ってきたのに、急に組織の外に置かれたという戸惑いがある。国と新しい調査委員会では「企業のみなさんと進めてきた内容は、新空港ありき、だったので、今回は意識的に外れていただきました」という。

委員会の中でも「勉強会などを開くときには、企業の関係者とも話しがしてみたいのだが、今はとりあえず避けている」というような状態だという。

それぞれが、お互いに気を使い合って、仕事がやりにくくなっているのではないか。

具体的な調査でも、経済界が外れていることの支障が出つつある。「地域の将来像と福岡空港の役割」という、いわば最も重要なテーマは、現在、委員会の中では地元の大学教授や建築家などの有識者のチームが担当している。このテーマならば企業や経済界としての立場からのビジョンを盛り込むことが不可欠であることは、委員の中からも指摘されている。

福岡空港の調査に関わる「PI」の流れ

ステップ1
目 標=福岡空港の能力・課題・空港に求められる政策目標を共有する。
テーマ=・福岡空港の現状と課題
    ・空港能力の見極め
    ・空港利用者の視点に立った航空サービスの評価基準

ステップ2
目 標=地域の将来像と福岡空港の将来需要などについて情報を共有し、意見を十分に把握する。
テーマ=・航空需要の将来予測
    ・地域の将来像と福岡空港の役割

ステップ3
目 標=「3案」ごとに考えられる対応策を整理する。
    その選択のための評価の視点を共有する。
テーマ=・評価の視点
    ・各方策(3案)ごとの対応策のメニュー
    ・検討すべき複数の対応策(3案の組み合わせ)

ステップ4
目 標=対応案を比較検討し、結果について認識を共有する。
    方向性(案)を作成し、包括的に確認する。
テーマ=・対応策(3案の組み合わせ)の評価と比較結果
    ・福岡空港の方向性(案)

今後の取り組みが注目される

国、自治体と経済界でビジョンの共有が必要

冒頭に紹介した国の答申の文言に、それぞれの組織が縛られすぎているのではないか。

「地域の将来像と福岡空港の役割」というテーマは、現状把握などの調査項目とは別格であるはずだ。このテーマを考える ためには委員会の枠を超えて、国と自治体、経済界など地元がきちんとビジョンを共有する必要がある。

「幅広い合意形成」を図るためのPIにしても、調査した項目を順番に市民に開示して意見を求めるということで、本当にまとまりがつくのか。いろんな意見が散出して、収拾がつかなくなるのではないか。

そうした事態を避けるためにも、ビジョンを明確にしておくことは重要だ。そうすることによって、PIを受ける側も大きな視点で調査内容を判断できる。

ビジョンが明確になれば、国、地域、企業が同じ方向を向くことができるので、今のような気の遣い合いはなくなり、プロジェクトも前に転がるはずだ。

福岡空港の将来を決めることは、すなわち、地域の将来を決めることに直結する。組織や段取りの前に、行政や経済界がリーダーシップ を発揮して、ビジョンを示すことが求められているのではないだろうか。

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※当ページの内容は、2004年6月25日発行の創刊予告号に掲載されたものです。

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