フォーラム福岡

福岡の未来を決める 新「福岡空港」空港写真

"明日"への福岡空港の《未来航路》を考える

2007年12月1日発行の17号より

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過密状態にある福岡空港を巡る論議は、実に20年来におよぶ。今回、発表された福岡空港総合調査ステップ3では、従来から検討されてきた近隣空港との連携案が却下された。連携案却下について、新北九州空港や佐賀空港のサイドでは、どのような受け止めているのだろうか。専門家の意見も交えながら、検証していみる。

ダッチロール続く福岡空港論議20年の軌跡

福岡空港を巡る論議は、足掛け20年近い歳月におよぶ。九州地方知事会と九州・山口経済連合会(現九州経済連合会)が1989年、九州の発展を目的に「九州国際空港検討委員会」を設置したのが端緒だった。

九州国際空港の基本構想は、「4000メートル滑走路×2本、敷地面積1000ヘクタール」の国際ハブ空港を打ち出した。1996年の第7次空港整備5カ年計画(1996年〜2000年)での採択を目指したが、実現しなかった。ちなみに第7次空整で整備されたのが、中部空港である。

その後、滑走路1本のみの福岡空港が増え続ける航空需要で将来パンク状態になるとの指摘が出た。1993年、福岡県が「福岡空港将来構想検討委員会」を設置。そして、「新宮〜津屋崎沖、560ヘクタールの海上空港、3500メートル滑走路×2本、2020年開港目標」を主な内容とする新福岡空港計画が誕生した。

2001年には福岡県、福岡市、地元経済界で「新福岡空港建設促進期成会」を組織して、後に幻となった第8次空港整備5カ年計画に再チャレンジする。新空港が現実味を帯びてくると、交通アクセス問題をはじめ莫大な建設費、建設予定地での環境問題、現空港の地権者問題や存廃問題が噴出し、文字通り宙に浮く。 

国・県・市による福岡空港の総合的な調査がスタート

福岡空港将来構想検討委員会の後を受けて新福岡空港調査会が発足する。2002年、「新宮沖など4候補地、560ヘクタールの海上空港、3000メートル滑走路×2本、建設費8200億円」を骨子とする「新福岡空港基本構想」を発表、国に福岡空港の混雑問題の調査を求めた。

その後、2002年12月の交通政策審議会航空分科会の答申において福岡空港は「将来的な需給が逼迫する事態が予想される」として、その方策を「国と地域が連携し、総合的な調査を進める必要がある」と示した。2003年7月、国土交通省、福岡県、福岡市の3者で「福岡空港調査連絡調整会議」を組織、福岡空港についての総合的な調査に乗り出して、今日に至る。

再考、なぜ連携案は「墜ちた」のか


福岡大学工学部 井上信昭教授

延々と続く福岡空港を巡る論議のなかで、今回の福岡空港総合調査ステップ3において特徴的な出来事は、近隣の新北九州空港と佐賀空港との連携案が「抜本的な対応方策とはなり得ません」と、否定されたことだ。

これまで連携論として、福岡空港の国際線や長距離線、小型機の一部を新北九州空港と佐賀空港に移管する「利用制限型」、新北九州空港と佐賀空港の需要を増やすことで福岡空港の負担を減らす「需要誘発型」で検討してきた。これらの検討結果、「利用者や地域に大きな負担を課す」「航空自由化の流れからも実現は困難である」「福岡空港の需給逼迫緩和効果はわずかである」と退けた。

この点について、交通計画に詳しい福岡大学工学部の井上信昭教授は、「具体的な需要予測では、モデルにインプットするデータ次第で結果は全く変わる。したがって、どのような連携や仕組みをインプットデータとして表現するかが重要だ」と、厳しい表情で語る。


交通アクセスがカギを握る(写真は九州新幹線)

従来から新北九州空港へのアクセス向上に加え、過密状態にある福岡空港の需要分担の狙いもあって、小倉駅からの空港連絡鉄道が検討されてきた。計画としては鹿児島本線や山陽新幹線、日豊本線、北九州モノレールの延伸案があるものの、採算面が厳しく、実現は困難とされている。

「博多駅と小倉駅間には日本が世界に誇る新幹線がわずか17分で結んでいる。小倉駅からの空港新線を整備すれば、博多―新空港間はわずか25分である」と、提案する。問題となる高いアクセス交通費について、「両空港を一体化した上で、発着枠取引を生かして航空運賃に反映させる。さらに新北九州空港の利用者に航空券とアクセス切符をセットにした割引切符の活用」などの構想を明かす。

24時間運用・海上空港の新北九州空港


24時間運用の海上空港である新北九州空港

北九州の玄関口・小倉駅発の連絡バスで最短35分、苅田沖に浮かぶ新北九州空港は昨年3月に24時間運行の海上空港として開港した。昨年度、新北九州空港の旅客数は127万人、発着回数は1万8000回余りとなっている。朝5時30分に発つ始発便は国内定期旅客便でもっとも早く、深夜1時に最終便が着き、全国でもっとも遅くまで運航している空港でもある。


九州市港湾空港局 上野伸一・空港企画室次長

北九州|東京間の年間移動人員は約200万人といわれている。従来、福岡空港利用者が約100万人、新幹線利用が約70万人、旧北九州空港の利用者が約30万人だった。昨年度、新北九州空港の東京便利用者は114万人で、その半数は福岡空港からの「鞍換え」とみられる。

今回、福岡空港総合調査ステップ3において、連携案は却下された点に関して、「現福岡空港の滑走路増設もしくは新空港建設までの期間中にあふれる需要をどう対処するのか」と、指摘する北九州市港湾空港局の上野伸一・空港企画室次長は、「どれかひとつの案を選ぶというのではなく、『増設+連携』などの組み合わせによる短期〜中長期的な対応が必要であり、空港連携も十分に必要ではないか」との考え方を示す。

航空貨物に活路を見出す佐賀空港

有明海に面した干拓地に位置する佐賀空港

ムツゴロウで知られる有明海に面した干拓地に位置する佐賀空港の2006年度旅客数は30万人、貨物取扱量は2万3000トン、発着回数は1万回弱だった。「空港から半径2キロ以内に民家がない」という特徴を生かして佐賀県が誘致をした航空貨物便は、羽田空港と中部空港との間で貨物専用機が夜間に飛んでいる。「市街地にある福岡空港は夜間定期便の運航が不可能であり、すでに佐賀空港が夜間における航空貨物輸送の役割を担っている」と、佐賀県交通政策部の山口康郎・副部長は語る。


佐賀県交通政策部 山口康郎・副部長

今回の福岡空港総合調査ステップ3で連携案が退けられた件について、「佐賀空港への評価が低かった。需要予測の前提としてバスのみを交通手段としているが、現実的には自家用車が主体であり、こういう利便性や福岡県南部も含めた周辺の潜在需要も評価して欲しかった」と語る。

過密状態にある福岡空港の問題解決として、滑走路増設もしくは新空港建設しても、工期だけで8年ないし14年かかる。この間にあふれ出す需要をどのように対応するのか。すでに自然な形で近郊の既存空港との役割分担ができている現状を踏まえ、「既存ストックの有効活用」も必要ではないだろうか。

福岡空港論議は現在、「誘導路走行中」


福岡県空港対策局 大久保一衛企画監

現在、福岡空港の総合的な調査はステップ3まで進み、次のステップ4で終了する。ただし、福岡空港総合調査が完了して、福岡空港問題が決着するわけではない。いまは、国の事業採択前となる調査段階なのだ。

「従来、地方だけでやって来た調査に今回、国が初めて調査に取り組む意味が大きい。来年に予定されているステップ4の結果を踏まえて、来年度中に福岡県としての方針の確立を目指したい」と、福岡県空港対策局の大久保一衛企画監はコメントする。

一連の流れを空港にたとえると、いまは航空機が駐機場を発って、滑走路へ向かう誘導路を走行中といえる。その誘導路では4段階のステップを踏んで、国の空港整備プロセスという滑走路へ進むわけだ。

福岡空港の「離陸許可」へ向けて

無事に滑走路に入っても、再度パブリック・インボルブメント(PI)を構想段階から施設計画段階にわたって実施しなければならない。その上で、国土交通省による新規事業採択評価がなされる。この採択評価に「合格」して、初めて『新規事業採択』という名の「離陸許可」が、管制塔から下りるのだ。

福岡空港の問題解決として、増設もしくは新設をするにしても、その先は、まだまだ長い。誘導路にいるうちに地元で十分に話し合った上で地域でのコンセンサスを得て、地域の戦略と空港の将来像を描いておかないと、本番となる滑走路に入ったまま、視界不良で先へ進めなくなる可能性もある。(近藤益弘)

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※当ページの内容は、2007年12月1日発行の17号に掲載されたものです。

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