フォーラム福岡

九州大学新キャンパス・第一期が開校新キャンパスイメージ図

地域社会と直結する「九大学研都市」

2004年6月25日発行の創刊予告号より

移転を契機に、九州大学が変わろうとしている。
その中核が企業と地域を巻き込んだ学術研究都市構想だ

産学連携の枠を破る、新たな実験場が誕生へ

九州大学新キャンパス建設予定地

福岡市西部の元岡・桑原地区への移転が本格化している九州大学で、もうひとつの大きなプロジェクトが進んでいる。「九州大学学術研究都市」構想だ。

学研都市といえばだれもが研究機関が集まっている「つくば」を連想するが、これとは異なり、九大では地域の企業と住民を巻き込んだ本格的なまちづくりを構想している。産学連携の枠を破る、新たな実験場は福岡に何をもたらすのか。

キャンパスが実験場に生まれるか?世界標準

だれもが何枚も持っているクレジットカード。これを1枚にまとめる実証実験を行う。システムは、九大の最先端分野であるシステムLSI。統一カードの製造は民間企業。実際にカードを使う人と店舗は糸島地区の住民と商店。この実験場が 、九州大学学術研究都市だ。

九州大学が目指す学術研究都市のキーワードは「知の創造空間」。単に大学や企業の研究機関が集合するというものでもなく、また、大学の研究成果を企業の商品開発に生かすという単純な産学連携でもない。

中核は九州大学だが、そこにさまざまな企業が参加し、地域の自治体 と住民も重要な構成要素となる。福岡市から唐津市までの玄海灘沿岸の広いエリア全体を「知の創造空間」にしようとしている。

冒頭のシステムLSIの例に限らず、九大は数多くの最先端研究分野を持っている。大学としては、新キャンパスで、そうした分野の研究施設・研究環境の充実が図られるが、一方で、開かれた大学として地域社会や産業に貢献していかなければならない、というのが、法人化時代の大学の生き残りのカギでもある。

九大の場合、学研都市構想の中で地域との協働を実現しようというのだ。最先端の研究を中核とし、産業と地域社会と直結して新しい社会基盤づくりを行う。そこから次世代の世界標準が生まれる…。こうした事例をいくつも打ち出していきたいという。

ワンポイントビュー

地域との推進体制は確立

九州大学の移転事業そのものが始まったばかりでもあり、現在、学研都市構想そのものは理念が先行している状態。LSIの地域実験のようにプランが上がっているのは、実はまだ少ない。

しかし、構想実現のための推進体制はできつつある。その中核となるのが、「九州大学学術研究都市推進協議会」だ。会長は九州・山口経済連合会の鎌田迪貞会長で、麻生渡福岡県知事、山崎広太郎福岡市長、梶山千里九州大学総長が代表委員、さらに 、委員には地元有力企業のトップと佐賀県、前原市など関連地域の首長が並んでいる。

そして、この協議会の中に実働部隊となる「九州大学学術研究都市推進機構」が今秋にも設置される予定で、現在はその準備会議が発足している。

推進協議会の総会

推進体制

スケジュール

有川節夫・九州大学副学長

ここでは、学研都市への研究機関集積にかかわる具体的戦略の構築や企業・研究施設の立地促進に関する具体的な事業を行う。事務局の業務執行責任者は、有川節夫九州大学副学長だ。

そして、東京でも同様のサポーター組織として「東京会議」が設立されている。東レ会長の前田勝之助氏が会長で、福岡や九大にゆかり大手企業トップがずらりと名を連ねている。

九大の新キャンパス建設の責任者でもある有川副学長は「学術研究都市が成功するために、地元自治体や財界から理解をいただいていることは、非常にいい状況」と手ごたえを感じている様子だ。推進役の一翼を担っている九州・山口経済連合会でも「研究者の集まる場所というだけでなく、生活空間を伴なっていることが重要。つくばとは違った、生活のにおいが感じられるようなまちづくりをしたい。九大自身が新しい取り組みを始められることで、産学連携の新しい流れができ、企業の側も周辺に立地することでビジネスにつながる可能性が増えるだろう」(黒田省司専務理事)と期待感を持ちながら、経済界としても主体的に取り組んでいきたい意向を示している。

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※当ページの内容は、2004年6月25日発行の創刊予告号に掲載されたものです。

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